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    2008

07.03

「天平冥所図会」山之口洋

天平冥所図会天平冥所図会
(2007/07)
山之口 洋

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華やかな外見のすぐ裏で魑魅魍魎が跋扈する平城宮。政治抗争に、木っ端役人まで巻き込まれ、無実の罪に問われ、職を追われ、下手すりゃ命まで!? 葛木連戸主と和気広虫の共働き夫婦が幽明境を異にして権力悪に立ち向かう!《本の帯より》

表紙がかわいらしいので内容もそうかと思っていた。戸主(へぬし)と広虫(ひろむし)は確かにかわいかったけれど、想像していた内容とはまったく違った。まあ、奈良時代という魔の権力闘争時代を描くと、こうなってしまうだろうことは理解できる。それにしても表紙はかわいすぎかも。

日本史のながれにそって物語は進行していく。東大寺の大仏建立や正倉院の完成、あるいは橘奈良麻呂の乱や藤原仲麻呂の乱、孝謙天皇に寵愛された道鏡といった化物が登場し、その一方で、地方出身としては破格の出世をした吉備真備を主人公側に付けている。そういう歴史的事件をなぞりつつ、上の人からは虫けら扱いされる木っ端役人や下々の人物もからませている。だけど、この奈良時代を知っている方には物足りないかもしれない。物語の帰結が想像できてしまうからだ。しかし、読んで損はない作品だったとも思う。では簡単に内容紹介を。

「三笠山」
女嬬として仕えるために備前から平城京へ向かう道中、和気広虫は行きだおれになりかかった子供を拾う。その少年、百世は母親を亡くし、大仏鋳造の労役についている父親を捜しに郷里をでてきたという。都に着いた広虫は、道中で仲良くなった由利の父親である吉備真備の元に挨拶に行くと、葛木連戸主を後見人として紹介され、戸主と広虫は百世の父を捜し始める。やがて、大仏に先立って梵鐘が完成し、ぐおおーーんと鐘の音が平城を響かせると…。

「正倉院」
自分たちの意思とは別に夫婦になった戸主と広虫。宮中では、先帝の聖武天皇崩御によって、御遺愛だった数多の品々を東大寺に献納することになり、戸主は定められた期日までに目録を作る長に命じられた。その献納におかしな意味をくっつけて政争の具に使う輩がいた。宮中政治を我が物にしようとする藤原仲麻呂であり、それをよしとしない反仲麻呂の連中だった。これでは戸主の仕事も上手くいかない。そんな最中、いるはずのない席に怨霊が現れて…。

「勢多大橋」
若狭から近江に抜ける山道で、戸主は崖下へ落ちてあっけなく死んでしうが、なぜか妻の広虫を依代とする亡霊になってしまった。平城では、傀儡の淳仁天皇を擁立した仲麻呂の権勢は頂点にあった。ところが、仲陸ましかった仲麻呂と孝謙上皇だったが、上皇の寵愛は一介の看病禅師に過ぎなかった道鏡へと移り、それによって道鏡の地位がみるみる上がった。この両派の反目に国土の危機を憂いた吉備真備は、ついに自らも動くことにした。

「宇佐八幡」
藤原仲麻呂の乱はあっけなく鎮圧された。淳仁天皇は廃位され、孝謙上皇が称徳天皇として天皇に返り咲き、次々と道鏡に高い位を授け、道鏡はついに法王の地位にまで登りつめた。しかし、仲麻呂に代わって政権の座についた道鏡の権勢の基盤はただ一つ、女帝の寵愛だけだった。そこに宇佐八幡から神託がもたらされた。道鏡をして皇位につかしめれば、天下太平ならん。つまり、道鏡は天皇の座を狙ったのだ。その神託の真偽を確かめるべく、広虫と弟の和気清麻呂が負うことになってしまう。

二作目の「正倉院」までは平凡な作品だったが、三作目の「勢多大橋」になると面白さがぐんっとアップする。より史実にそった内容になるだけでなく、戸主と広虫の会話が増えたことは大きい。それまではお互いに忙しすぎて会話らしい会話がなかった。それが、戸主が亡霊になったことで、いつも広虫の側にいるようになる。それに四作目の「宇佐八幡」に至っては、戸主が一言主命に会いに行って、まさに神頼みをする。神と話しまでするなんてやりすぎだろうか。いやいや、この自由なところがすごく楽しかった。それに空まで飛んでしまうわくわくまであった。こんなに面白くなるのなら、戸主はもっと早く死んでも…。これは言いすぎか。

本書よりも歴史に趣を置いた作品が読みたい方は、高橋克彦さんの「風の陣」をお薦めしたい。本書とは作風はまったく違うが、もっと権力闘争を掘り下げた作品だった。奈良時代を描いた作品は少ないけれど、意外とどろどろが楽しかったりする。この時代を読むと案外新鮮かもよ。

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