2008
![]() | ママカノ (2008/06) 末永 直海 商品詳細を見る |
私は作家のはしくれだ。年齢は四十三歳。最近、ミオというハンドルネームで遊ぶことを覚えてしまった。いろんなことがうまくゆかないこの頃、私は見知らぬ人間と、ネットでつかの間の会話を楽しむことを、心の清涼剤にしていた。明日はいよいよ、ネットで知り合ったゾラと、リアルで会う日だ。一日恋人――。思いつきのばかばかしい遊びに、彼は乗ってくれた。
鎌倉高校前駅の、海が見えるホームで、会うことになったふたり。そこに現われたゾラは、アイドルみたいな顔立ちを打ち消すように、肌も髪もぼろぼろの男だった。ゾラは失恋の痛手から立ち直れない二十三歳の大学生。だけど、お互いにお揃いが多く、すぐに通じあってしまった。歳の離れた人間を面白がるところ。携帯の着メロが宇多田ヒカルの「COLORS」なところ。そして、借金という数字のオバケに追い回される生活。
ぼろぼろ女と、ぼろぼろ男。カッコ悪い現実を見せ合ったふたりは、お揃いのにがい現実も、ふたり力を合わせれば、乗り越えられそうな気がした。それが、いつしか本気になって、二人をめぐる世界も変わる。ママみたいな歳のカノジョだから、ママカノ。私はこのネーミングが、結構気に入っていた。
きっかけは出会い系とか、会ってすぐに付き合いが始まるとか、歳の差を気にしないとか、借金を抱えていても平然としているなど、ここにはリアルが一切ない。たぶん、わざと排除しているのだろう。ではなにがあるのかというと、二十も離れた歳の差カップルのラブがある。いや、ラブラブしかない。ハートマークのお伽の国だ。これがもうむちゃくちゃ小っ恥ずかしい。お尻がモゾモゾするのである。
例えば、手をつないで歩いたり、真向かいではなくいつも並んで座ったり、ほっぺたに甘く噛みついたり、人前でチューしたり、とにかく、始終ベタベタしている。まるで中高生のような恋人同士なのだ。主人公の女性は四十三歳でしょ、というツッコミはけっしてしてはいけない。四十三歳だって乙女なのだ。ここはお伽の国なのだ。そうわかっていても、実際に読むのは恥ずかしい。ティーン向けともいえる恋愛ものに、まったく免疫がないからだ。
嫌いというわけではない。ベタ甘な作品は大好きだ。しかし、この作品はなんとなくエロい。官能的なエロさではない。見えそうで見えないという男が好きそうなチラリズム。これがずらずら〜と羅列されているようで、何度もいうけれど恥ずかしいのだ。「好きでしょ、こういうの」と並べられると、確かに好きだ。でも、今の子ならこれが普通だろうけれど、年代的にこれが赤面ものなのだ。そういう点で、何度も息切れしてしまった。
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