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    2008

08.11

「タイム屋文庫」朝倉かすみ

タイム屋文庫タイム屋文庫
(2008/05/22)
朝倉 かすみ

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祖母が死んだ。祖母が「おばあちゃん」から「仏さま」に変わった気がした。祖母の亡きあと、小樽の祖母の家に住もうという身内はいなかった。おばあちゃん家で暮らしたいという柊子の希望は、親戚一同から歓迎された。一度動きだしたら止まらなかった。からだが勝手に動いた。忌引休暇を終えてすぐ、柊子は上司に退職を願いでた。不倫関係にあった男だった。

荷物は本が多かった。荷物のほとんどが本といってよかった。とりあえず全部持ってきた。数は五百ほどである。タイムトラベルにちなんだものばかりだった。蒐集歴はおよそ十五年になる。きっかけは初恋のひとのひとことだった。タイムトラベルの本しか置いていない本屋があったらいいな。知るひとぞ知るって感じで、目立たない小さな店で。それは柊子が十六歳になったばかりの初夏のことだった。かれとは卒業以来、会っていない。

居間に積もった本を元手に、貸し本屋を始めようと、思いついた。時間旅行にかんする本だけを扱う本屋を。このまちの、この家でひらこう。たったひとりの客を待つ店があってもいいじゃないか。もう、三十一歳。ただ、彼と会いたいだけだった。貸し本屋の名前はタイム屋文庫がいい。動き出したら止まらなかった。柊子の胸のうちはオー・ライだった。親指を力強く立てている。

お初の作家さんだ。第一印象は優しい文章かな。そして、読んでいるとなぜか気持ちよくなってくる。それゆえに何度も眠くなってしまった。(おい) 退屈という意味ではない。文章から情景が浮かびあがってくるし、主人公が何を思っているのかも伝わってくる。だけど、気がつくと首をカックリとしているのだ。

主人公の柊子は、朝は朝刊くばり、昼はレストラン・ヒワタリという風にバイトをかけもちしながら、夕方から貸し本屋をいとなむ日々をおくる。そこを訪れるのは、レストラン・ヒワタリのオーナー樋渡徹、学生時代からの友人の木島みのり、実家に出戻った姉などで、彼らはタイム屋文庫でうたた寝をすることで夢をみることになる。いわゆる、時間旅行をしてしまうのだ。というわけで、登場人物たちも眠くなるわけである。自分だけではないのだ。(おいおい)

その不思議な夢をみた人たちは、何かしらに気づいて前を向いて歩き始める。しかし、すべての人が夢をみられるわけではない。店主の柊子もしかりで、なぜか夢をみることがない。その彼女はどうしたら前へ歩むことができるのか。彼女が前へ歩むとその先には何があるのか。それは自分で読んで確かめてほしい。優しい文章だからか、優しい気持ちになれた。温かな気持ちになれた。そして、夢のある素敵な作品だと思った。

自分がタイム屋文庫でうたた寝をして、はたしてどんな夢をみるのだろうか。それともみることはないのか。そういったタイム屋文庫を訪れてみたいという想いとともに、自分の蔵書で貸し本屋をしてみたいという憧れがでてきた。およそで本を数えてみたら八百以上はあった。商売っ気が抜きならできそうだ。

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朝倉かすみ
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comments

おお。自分の蔵書で貸本屋。
800冊とはすごいです。
うちも結構ありますけど、文庫ばっかだし。
しんちゃんとこはサイン本もいっぱいありますよね~。戻ってこない本がありそう(^_^;)

そして、確かにちょっと眠たくなるお話でした。

ちきちき:2008/08/11(月) 21:38 | URL | [編集]

ちきちきさん
処分をしていますが、常にこれぐらいの冊数はあります。
サイン本は、鍵付きのガラスケースの中にでもいれておこう。
しかし、ジャンルにまとまりのない貸し本屋になりそうです。

ちきちきさんはちょっとですか。自分は何度もでした^^;

しんちゃん:2008/08/12(火) 20:41 | URL | [編集]

自分の蔵書で貸し本屋。
いつか好きな本ばかり集めてやってみたいと思うけど、私が持ってるのは30冊に満たない。
絶対に無理です!
眠くなりましたか。私はどうだったかなぁ。
眠くなるほど、心地のよい文章だったということで!

なな:2008/08/16(土) 08:51 | URL | [編集]

ななさん
できれば図書館派になりたいです。
でも買っちゃうんだよなあ。
そうそう。心地良い文章が睡眠剤に(笑)

しんちゃん:2008/08/16(土) 10:43 | URL | [編集]

こんにちは。
寝ることもできるお店だけあって、読んでいて眠くなるのもわかる気がします(笑)。
柊子や樋渡徹、ツボミおばあちゃんなど、不思議な雰囲気があっておもしろかったです。
自分の蔵書で貸し本屋、いいですねぇ。
お店をやるなら、ぜひ東京で!

mint:2008/09/16(火) 11:08 | URL | [編集]

mintさん、こんにちは。
ええ、ええ。寝ましたとも。と開き直ってみる(笑)
ほんと、不思議と気持ちが良くなる作品でした。
貸し本屋はグッドです。朝倉さん、よく思いついたものですよね。

しんちゃん:2008/09/16(火) 13:19 | URL | [編集]

ふらりと訪れる黒猫がまたいい味を出してましたね~。最後のつながりなんて、猫が取り持つ縁だったのかしら?とにんまりとしてしまいました♪
穏やかでとても心地よい作品でした。

エビノート:2008/12/08(月) 22:42 | URL | [編集]

エビノートさん
ふふふっ、やはり猫好きはそこに目が行きますよね。
おいらは猫ならぬ、眠り猫になってしまいました。
心地よく眠れましたって、おいっ!(勝手にボケツッコミ)

しんちゃん:2008/12/09(火) 20:07 | URL | [編集]

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