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    2008

08.24

「ボックス!」百田尚樹

ボックス!ボックス!
(2008/06/19)
百田尚樹

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私を助けてくれたのがあなただったらよかったのに。木樽優紀の頭の中に高津耀子先生の言葉が何度も甦る。そうだったらどれだけよかったかと優紀は思った。高津先生は憧れの女性だった。まさかあの電車の中で不良たちにからまれていたのが本当に高津先生だったなんて。あの時、鏑矢義平は最初からやる気だった。優紀は必死で押しとどめた。もう止められない。あとはもう一瞬の出来事だった。あっという間に五人の男たちは無様に床に這わされていた。あの光景を思い出すと、ぞくぞくする。あんな風に不良たちを叩きのめすことが出来たら――。

鏑矢とは幼なじみだった。隣同士に住んでいたから、いつも一緒に遊んだ仲だった。鏑矢は子供の頃から活発な子供でケンカも強かった。反対に優紀は体が弱く、ケンカになりそうになると、それだけで泣いてしまう気の弱い子供だった。鏑矢は優紀がイジメられるといつも助けてくれた。怒るとすぐに手が出る気の短い子供だったが、優紀には一度も手を上げたことがない。鏑矢は運動も得意で、クラスの人気者だった。しかし勉強は出来なかった。中学へ上がってからも鏑矢との友情が続いていたが、二年生の終わりに優紀の父が亡くなり、引っ越すことになった。

恵美須高校を選んだのは、特進クラスがあったことと、成績が五位以内の優秀な生徒には授業料の免除があったことだ。優紀の家は貧しく、授業料全額免除は大きかった。恵美須高校に入って数日して、優紀は懐かしい男に声をかけられた。鏑矢だった。鏑矢は体育科に入っていた。体育科ははっきり言って勉強が出来ないクラスだった。その分、全員が何らかの運動部に入っていた。鏑矢はボクシング部だった。鏑矢は強かった。ボクシングをするために生まれてきたような男だった。

優紀にも鏑矢のように強くなりたい気持ちはあった。鏑矢も含めてボクサーたちは凄いと思った。彼らはなぜボクシングを選んだのだろう。どうして相手を殴り倒すことを目的とするスポーツを選んだのだろう。しかも自分も殴られる。優紀は街で殴られた。中学時代にイジメを受けていた知り合いにからまれたのだ。無抵抗だった自分にものすごく腹が立った。なぜ男らしく戦わなかったのか、と激しく自分を責めた。たとえ負けても戦うべきだった。その時、優紀の脳裏に鏑矢の姿が浮かんだ。優紀は鏑矢のいるボクシング部に入った。

天才肌ゆえにボクシングの怖さを知らないカブちゃんと、文武両道を目指す努力肌のユウちゃん。幼なじみで仲のよい彼らがライバルに。交錯する友情、闘い、挫折、そして栄光。その二人を見守る素人顧問の耀子。彼女の目線があるからこそ、ボクシングの奥深さがより伝わってくる。そして二人の前に立ちふさがる厚い壁。モンスターと呼ばれる無敵の王者・稲村。少年たちの成長ものとしても、ボクシングものとしても、面白いと思われる材料が、これでもかと詰め込まれていて、それらがすべて生かされている。

ボクシングを普段観るのはプロの試合であって、プロとアマのルールはかなりの違いがある。そういった点も、さり気なく紹介されているし、知らない方にも親切に教えてくれる。そしてなんといっても熱くなれる。まったく先の読めない展開に、ハラハラドキドキしっぱなし。何度予想を裏切られたことか。これはいい意味である。王道だと思わせて、そこをひょいっとズラしてくるのだ。

これはおもしろかった。600ページ弱という分厚さも気にならなかった。ただ難点は耀子先生が女を出すところで、これがわずらわしい。しかし、久しぶりに体が震えた読書になった。読後の余韻も中々熱が冷めてこないのだ。これは凄い作品かもしれない。そう思った一冊だった。お薦め。

百田さんのサイン。

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comments

本当に凄くそして上手い小説だったと思います。
ボクシングの素人である主人公を据えることでアマチュアボクシングのルールを無理なく覚えられました。スポーツ小説でここまで熱くなったのははじめてかもしれません。
勘があたることはめったにないのですが、ここまで当たると震えてきます(笑)。

リベ:2008/08/25(月) 00:27 | URL | [編集]

りべさん
これは買って正解でしたね。すっごく面白かったです。
少年マンガ風ではあるけれど熱くなれました。
勘はねえ。だけど、こういう出会いがあるから、また挑戦してしまう。^^

しんちゃん:2008/08/25(月) 19:10 | URL | [編集]

しんちゃん こんばんは。
すごい作品でした。
一気に読むのがもったいなくて、ゆっくり
じっくり読みました。
これ読んだらボクシング始めたくなりますよね。
私も予想を何度も裏切られました。
マネージャーの丸野の存在が、とっても
良かったです。

naru:2008/08/25(月) 19:45 | URL | [編集]

naruさん、こんにちは。
丸野さんは変な子と思いました。ここにも書こうとも思いました。
だけど、守護天使にされると納得するしかなかったし、書けなかったです。
展開予想はほんとに裏切られましたね。
振り子があっちこっちと揺れっ放しでした。
これはすごい作品だと思いました。

しんちゃん:2008/08/26(火) 10:52 | URL | [編集]

おお。サイン本とは素晴らしいです。

久しぶりに燃えました。熱い読書でした。
登場人物たち、それぞれに魅力的でした。
カブもユウも大好きでした。
そして丸野も可愛くて強かった。
感動しました。

ちきちき:2008/09/07(日) 22:15 | URL | [編集]

ちきちきさん
買え買えと訴えてきたので買っちゃいました。
これは燃えましたね。火照った体を消火するのが大変でした。
カブもユウも、そして守護天使となった丸野も魅力がありました。
個人的には、大阪が舞台というのも良かったです。

しんちゃん:2008/09/08(月) 11:28 | URL | [編集]

初めまして、私は「ボックス!」の著者です。残念ながら証明するものはありません。
自著のネット検索で偶然拝見したnaruさん、ちきちきさんのページから辿らせていただきました。
拙著を熱く語っていただき、ありがとうございます。
「先を読めない展開にハラハラドキドキ」「いい意味で予想を裏切る展開」「王道だと思わせて、そこをヒョイとずらせていく」と書いて下さったことは、すごく嬉しいです!
他にも著者として嬉しい言葉が満載でした。ありがとうございました。
ただ、耀子が女を出すところがわずらわしかったですか・・・。少し残念な気持ちですが、仕方ありません。
しんさんはサイン本をご購入されたのですね。ありがとうございます。へたくそな字ですいません^^;


百田尚樹:2008/09/09(火) 13:25 | URL | [編集]

百田さん、はじめまして。
書店でひと目見た瞬間、「読め!」というオラーを感じました。そして、書店員さんのポップで自分の好きなボクシングを扱っていると知り、即レジへ直行。その結果は、自分の野生的勘の勝利でした。
親友のカブとユウ、天才肌と努力の人、いったいどちらが強くなれるんだ。あのモンスターを倒せるのはどっちだ。そういった興味を持ちながら、わくわくドキドキ読ませて頂きました。一部余計なことを書いちゃいましたけど^^;今年読んだ中で一番熱くなれた作品でした。
字がへたくそなんて、とんでもない。マイお宝です(笑)
一読書人として、この作品を超える作品にも期待したいです。応援しています。ぺこり。

しんちゃん:2008/09/10(水) 11:17 | URL | [編集]

私のような無名の著者の本を、しかもかなり厚くて値段も張る本を、書店で見ただけで購入していただき、感謝です!
買われたのは、もしかしてK書店のH店でしょうか^^;
「今年読んだ中で一番熱くなれた作品」とのこと・・・、嬉しいです!!
今後とも、しんちゃんさんのご期待に背かぬように頑張っていきたいと思います。

百田尚樹:2008/09/10(水) 22:32 | URL | [編集]

百田さん
購入した書店は、J堂大阪本店でした。全然、伏字になっていない(笑)
舞台が大阪だからでしょうか、今もプッシュが続いているようです。
たくさんの方に手に取って欲しい、そう自分も思います。
新刊がまた、ドンッとディスプレイに並ぶ日を待っています。
執筆の方、ガンバって下さいませ♪

しんちゃん:2008/09/11(木) 11:18 | URL | [編集]

こんにちは。
読んでいて厚さが気にならないくらいおもしろかったですね。
さわやかで熱くて、心にグッとくる感じで。
鏑矢や優紀がボクシングに惹かれるのはきっと理屈じゃないんだろうなと思ったりして。
何か?と聞かれてもわからないんだけど…(笑)。
登場人物たちがみんな魅力的で、試合のシーンも迫力があって、満足の一冊でした。

あ、今回もサイン本なんですね。いいなぁ。

mint:2008/10/28(火) 10:47 | URL | [編集]

mintさん、こんにちは。
すごく読みやすい作品で、ぶ厚さは気にならなかったですよね。
実際に一日で読み終えちゃいました。これも勿体無いですけど。
少年たちは、大事なものと出会ってしまったのでしょう。
練習も試合もすごく熱かったですね。

しんちゃん:2008/10/28(火) 12:14 | URL | [編集]

こんばんわ。
これ良かったですね~!
こんなに分厚い本なのに止められなくて困ってしまいました。
天賦の才を持ったカブちゃんとボクシングを科学的に分析して上達していくユウキとの対比だけかと思ったら、予想以上の展開で本当に面白かったです。

ia.:2009/02/24(火) 01:53 | URL | [編集]

ia.さん、こんばんは。
そうそう。途中でページを捲る手を止められない。
読者を惹きつける吸引力がハンパじゃなかったですよね。
いい本なのにと思っていたら、本屋大賞候補作に。
やるじゃん。全国の書店員(笑)

しんちゃん:2009/02/24(火) 18:18 | URL | [編集]

先生ですよね……。彼女の視点が入ることで分かりやすくなるのも、強い男に本能的に惹かれてしまうってのもいいんですが、たった一つ、最後の最後に「行かないで」ってなった所だけは身勝手さを感じてしまいました。

たまねぎ:2009/04/21(火) 23:15 | URL | [編集]

たまねぎさん
先生ですね(苦笑)
「行かないで」を代表とした女らしいところは生理的にダメなのかも。
本屋大賞の「告白」は納得だけど、この本もいい所まで行きました。
今年の本屋大賞は、あっぱれ!

しんちゃん:2009/04/22(水) 20:39 | URL | [編集]

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