--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

08.26

「カタブツ」沢村凛

カタブツ (講談社文庫 (さ95-1))カタブツ (講談社文庫 (さ95-1))
(2008/07/15)
沢村 凛

商品詳細を見る

家庭がありながら運命的な出逢いをしてしまった2人、人の世話ばかり焼いてしまう癖を恋人に咎められる青年、息子が事故に遭遇しても足がすくんで助けられない夢にうなされる母親、隣室の女性がストーカーに殺されたのに何もしなかったと非難される男。誠実な人々の窮地を描いて共感を呼ぶミステリー集。《背表紙より》

「バクのみた夢」
ふたりは、出会ったらそれだけで惹かれあった。もっと早く出会えていればと道雄が言うと、いっそ出会わなければ良かったと沙織里が嘆いた。沙織里には夫がいて、道雄には妻と娘がいる。そして、ふたりはそれぞれに、自分の家族を愛していた。彼らに知られてはならない。そうして、ふたりは結論を出した。どちらかひとりが死ぬしかないと。

「袋のカンガルー」
いつも人の世話を焼き、自分のことよりも他人のことを優先にしてきた啓には、双子の妹がいた。妹の亜子は自分の友人以外の同姓に、いたく敵対的になる。それが啓の親しい女性となると輪をかけて。おまけに嫌がらせの天才だ。だけど、突き放すことができない。結婚を意識する女性と妹の亜子。日曜日をどちらと過ごすか決断することになった。

「駅で待つ人」
待ち合わせウォッチング。これがぼくの趣味なんです。あの日、ぼくもここで待ち合わせをしているんだというふうを装って、観察にとりかかった。その中のひとりの女性こそ、ぼくの理想の待っている人だった。彼女にエスペランサという名前を付けて、こっそりながめていた。彼女の待ち人が来た途端、不条理なことが起こった。

「とっさの場合」
息子が死ぬ夢をみた。瞬間的に人を助けるアニメをみた。包丁を落としてしまった。私はとっさの場合に弱い。反射神経のにぶい人間だ。もともと、強迫神経症気味だった私は、息子が目前で車に轢かれそうになっても、立ちすくんでしまうに決まっている、という妄想に押しつぶされそうになり、留奈と話し合って、イメージトレーニングを始めた。

「マリッジブルー、マリングレー」
結婚を目前にして、婚約者とともに彼女の実家のある福井県へやって来た。以前にこの入り江の景色を見たことがある。しかし福井県に足を踏み入れるのは初めてだ。昌樹は交通事故の後遺症で、三年前の二日間の記憶がなかった。その三年前の同じ日にあの入り江で殺人事件があったという。景色に見覚えがあるということは、俺は人殺しなんだろうか。

「無言電話の向こう側」
いつでも自信満々の友がいる。自分の意見をはっきりと言い、その上で他人の意見も聞く。その彼の部屋に無言電話がかかってくる。そして彼には暗い過去があったことを知る。かつて住んでいたマンションで、隣に住むOLがストーカーに襲われていたのに、部屋から出て助ける者がおらず殺されてしまった。彼は非常な住人として非難されていた。


ここからネタバレありの感想です。未読の方はご注意を。

「バクのみた夢」
これはすごく良かった。こんなに温かい不倫の物語ははじめて読んだ。?どちらかひとりが死ぬしかない″という、なんで?と首を傾げる結論を出すのだが、そのあとの展開が滑稽で、オチも素晴らしかった。最初にこれを持ってこられたら、他の作品への期待が膨らむ。

「袋のカンガルー」
普通の人なら、考えるまでもなく彼女を選ぶはず。それをこの男は、妹のチワワのようなウルウル目線をはねつけるも、結局は妹との記憶に負けてしまう。この馬鹿男は一生このまま妹の尻に敷かれるのだろう。それにしても、この妹はホラーだ。これも好きな作品だった。

「駅で待つ人」
読んでいて、どういう内容なのか中々見えてこない。ストーカーにでもなるのかと思いきや、ええっと驚きの展開に。でも彼の怒りも、なんとなくわかってしまう。主な登場人物の三人とも、まともじゃないというところに面白味があった。こういうブラックなのも好きだ。

「とっさの場合」
弱い弱いお母さんだと思っていたら、これのラストには痺れてしまった。これは上手い。長いネタ振りは少し疲れるが、このラストじゃあ文句が言えない。ここまでは酷くはないが、鍵のかけ忘れや、エアコンの電源を切ったかなど、気になってUターンして家に戻ることがたまにある。これって、強迫神経症気味なのか。

「マリッジブルー、マリングレー」
ミステリとしてもよく出来ていたと思う。そして、これのオチがちょっと怖い。だけど、ニヤリ。やっぱりブラックなのは好きなのだ。余韻を引く感じで、彼の空白の二日間がすごく気になる。何をしたのかこっそり教えて欲しい。

「無言電話の向こう側」
最後の作品だけあって、カタブツ度が非常に高い。自分なら絶対に言い訳をすると思いながら読んだ。友人の濡れ衣を晴らそうとする主人公の心が気持ちいいし、男は黙して語らずというスタンスを貫く友人の美学もカッコいい。だけど、友人なら打ち明けて欲しいかな。少し寂しいよ。

カタブツたちは、真面目で、自分であろうとして、それゆえに変な方向に走り出す。それがすごく滑稽で、ハッピーばかりじゃなくゾクっとくる作品もあって、すごく好きな作品集。というか、好きだ好きだのオンパレードの感想になってしまった。この本を譲ってくれたある人に感謝です。ありがとう。むちゃくちゃ面白かったです! 

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

沢村凛
トラックバック(3)  コメント(2) 

Next |  Back

comments

しんちゃんの記事を読んで内容を思い出しました。そういえば「とっさの場合」が好きでした。
そして、カタブツたちの中に混じったぞくっとする話・・。その混ぜ方が絶妙でした。

june:2008/08/27(水) 23:23 | URL | [編集]

juneさん
「とっさの場合」のオチはすごかったですね。
そして、ブラック好きには堪らない作品ばかりでした。

しんちゃん:2008/08/28(木) 19:34 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

◎「カタブツ」 沢村凛 講談社 1470円 2004/7


 評者は、あまり一生懸命読書用のアンテナを張っているわけではないのだが、ミステリーブックナビは、チェックしている。チェックするといっても、毎月一回更新される、書評家お薦めの作品を参考にする程度で、自分の好みでお薦めしてくる書評家による順位に敏感に反応し...

2008/08/27(水) 08:48 | 「本のことども」by聖月

「カタブツ」沢村凛


カタブツ 他のブログで「カタブツ」というタイトルを何度か見かけて、気になっていたのですが、あたりでした。おもしろかったです。カタブツという設定も、一見わかりやすそうなのに微妙にずらされたオチも、各短編の読後感の違いや並べ方もよかったのです。初めての作...

2008/08/27(水) 23:20 | 本のある生活

『カタブツ』 沢村凛 講談社


カタブツ 「誠実度100%人間たちのミステリー!」 真面目で地味な主人公にスポットを当てた6編の短編集。 1編が短い話なので余分な表現もなく文章さえも真面目?だと思うぐらいシンプル、しかし読了感はさまざま。 『駅で待つ人』『とっさの場合』…も良かったけ

2008/08/31(日) 07:43 | みかんのReading Diary♪

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。