2008
![]() | ララピポ (2005/09) 奥田 英朗 商品詳細を見る |
超お下品な六つの連作集。
「WHAT A FOOL BELIEVES」
三十二歳のフリーライター杉山博は対人恐怖所。高学歴だけがプライドだが、自宅アパートでひきこもって書く原稿料は十四万四千円。それが博の月収のすべてだった。家賃十万円のアパートは音が筒抜けの欠陥住宅だったが、つい最近からうれしい誤算があった。上の階に引っ越してきたホスト風の男が、週五日のペースで女を連れ込むのだ。かすかに聞こえる喘ぎ声だけでは満足できず、盗聴器まで買ってしまった。毎回下半身に手が伸びる博だが、誰とでもいいから、急にセックスがしたくなった。そこで声をかけたのが、いつも図書館で会う、若いブスでデブ女だった。
「GET UP, STAND UP」
二十三歳の粟野健治はキャバクラ嬢スカウトマン。給料はすべて歩合で、女の稼ぎの五パーセントが健治に入ることになっている。抱える女の数がすべてだった。所属する事務所はキャバクラだけでなく風俗店やAV業界ともつながりがある。もちろん健治も稼ぎの良い風俗やAVに女を送り込みたいのはやまやまだ。健治はトモコというデパートに勤める女性をキャバ嬢にスカウトした。そのトモコは会話が苦手だと言ってきたので、ヌキ・キャバに移籍させた。トモコは自分の意志というものがあまりない不思議な女だった。性感ヘルス、そしてAV女優へと、言われるがまま突き進んでいく。
「LIGHT MY FIRE」
四十三歳の佐藤良枝はアダルトビデオ業界に身を投じた。夫との性交渉はすでになく、若い男とできるというだけで全身が熱くなったのだ。夫は平凡なサラリーマンで終電帰宅。一人娘はデパートに勤務していた。良枝の日々は毎日が日曜のようなだ。居間でテレビを見ながらぼりぼりと尻をかく。若手俳優を頭に浮かべ自慰行為に耽る。鼻クソをほじってはテーブルの縁に擦りつける。ゴミが出れば部屋の隅に放り投げる。唯一の日課は隣家に届く郵便物の盗み読みで、その隣家に苦情の手紙が送られていることを知った。
「GIMMIE SHELTER」
二十六歳の青柳光一はカラオケボックス店員。女子高生の手コキは黙認していたが、一度抜いてもらったことがきっかけで、ポン引きに強要されて、カラオケ店はすっかり制服姿の売春婦の溜まり場になってしまった。押しに弱く、アパートでも新聞の勧誘を断れず判子を押してしまう。それ以外にも浄水器やフライパンセットのローンがある。すべて訪問販売で購入したものだ。ノーと言えない男だった。近所の飼い犬の鳴き声で毎朝目が覚める。まだ吠えている。ふつふつと怒りが込みあげてきた。我慢がならなくて匿名の手紙を出した。飼い主はいつまでたっても無視を続けてきた。
「I SHLL BE RELEASED」
五十二歳の西郷寺敬次郎は官能小説家。出版社からの注文がさばききれなくなり、手書きから口述筆記に替えた。口述中に勃起するのは毎度のことだ。年収は二千万前後をキープしている。不満があるとすれば、世間的な地位だけだ。官能作家は、正しく評価されていない。街で次の構想を練っていると、制服姿の女子高生が目に入ってきた。そのとき背中に声がかかった。手コキで一万ポッキリ。どう? 相手は女子高生で、青い果実だった。過去十年間のどのセックスよりも気持ちが良かった。欲望が理性を撥ね退け常連客となり、行為がエスカレートしていく。
「GOOD VIBRATIONS」
二十八歳の玉木小百合は口述テープの原稿起こしをしていた。容姿に恵まれないデブ女。しかしこう見えて、男には不自由することはなかった。先週までは、太ったフリーライターがボーイフレンドだった。次のターゲットは、いかにも女にもてなさそうな郵便配達員に決めた。醜男の前にやれそうな女がいれば、誰だって体を血が巡る。そうして、山田と関係を持った。山田が帰っていくと、盗撮したDVDを取り出した。このDVDをいつものアダルトショップに売った。その後、山田が二人の後輩を連れてきて、またもや新作DVDが出来た。DVDのデブ女シリーズは売れまくった。
なんか内容紹介だけで疲れてきたぞ。性ありきの作品で、オチがおもいっきりブラック。黒いのが好きなので、個人的にはアリだった。ただ残念だったことがひとつだけあった。最後の作品でそれまでの人物が総登場。そんなありきたりな顛末はいらねえ。これには、ガックリときた。
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