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    2008

09.01

「カラスの親指」道尾秀介

カラスの親指 by rule of CROW’s thumbカラスの親指 by rule of CROW’s thumb
(2008/07/23)
道尾 秀介

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武沢は妻を癌で亡くした。娘と二人で暮らしはじめて、三年ほど経った頃。同僚が賭場で拵えた借金の保証人になってしまった。同僚は飛んだ。賭場の借金は、そのまま武沢の借金となった。消費者金融で借りては返す自転車操業。やがて審査も通らなくなり、ヤミ金に頼らざるをえなくなった。借金は増えていくいっぽうだった。嫌がらせと強迫は続いた。会社にも首を切られた。

そこへ、ヤミ金が提案を持ちかけてきた。自分のところで働けということだ。ヒグチに命じられた仕事というのは、「わた抜き」という符丁で呼ばれていた。返済能力が限界を超えて支払いが滞っている債務者から、最後の金を奪い取るものだった。あれは、母子家庭の母親だった。その女性の自殺を知ったとき、武沢の中で何かが弾け飛んだ。組織の機密書類を盗み、警察へと向かった。ヤミ金組織は壊滅に追い込まれたはずだった。武沢の家が燃えた。家の中には娘がいた。娘の葬儀の夜、携帯電話が鳴った。これで終わりじゃないよ。それきり電話は切れた。

武沢が詐欺師となって七年が経った。詐欺のコンビを組んだテツさんにもつらい過去があった。その彼らが住むアパートが不審火によって焼けた。ヒグチの仕業だった。彼らは逃げるように新居に移った。そこは二階建ての小さな借家だった。そろそろ働こうということになり、一仕事を終えた二人は、スリに失敗した少女を同業者として助けた。少女の名前は河合まひろ。武沢が死に追いやったあの女性の一人娘だった。

何かしなければならない。いま武沢にできるのは、行くところがない少女を居候させることしかなかった。そこに闖入者が続々と現われた。トサカと名付けた子猫に始まり、まひろの姉のやひろが彼氏の貫太郎を連れて転がり込んできた。こうして、狭い貸家の入居者は五人と一匹になり、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。

平穏は長く続かなかった。ヒグチに見つけられ、いやがらせが始まった。あいつらは楽しんでいる。そのヒグチの手下の中にテツさんが知る男がいた。かつてテツさん夫婦を嵌め、妻を自殺に走らせる原因となった債務整理屋も、ヒグチと同じ組織の人間だった。姉妹の目にも共感の色が浮かんだ。暴力に暴力で対抗しても分が悪いだけ。そこで、組織に大胆なペテンを仕掛けて、やつらの大金を奪う大計画を実行しることになった。

ミステリの感想が苦手なので、延々と内容紹介をしてみた。こういうのを「お茶を濁す」というのだ。というわけで、短く感想を。道尾作品はすべて読んでいるが、これまでの作品でもっともスマートな作品だと思った。だが謎的なことが中々出てこない。どこがミステリなのか分からない。作品の構成を端的に分類すると、他人同士の共同生活が始まって終わるまでの前半部分、映画「スティング」のようなペテンを仕掛ける中盤以降、これぞ道尾という大どんでん返しのラスト。そう。ラストになってやっとミステリだったと思い知らされるのだ。これって、伊坂じゃん。(おっと)

そんな中で、一番印象に残ったのは204Pにあった指の話のエピソード。これはいい話だった。自分の指でも確かめてみた。これって原典があるのだろうか。そして第一刷発行を読んだが、219Pの最後で瑠璃江が瑠美子になっていたこと。これって誤植だよなあ。感想のまとめに入ると、作品としては面白かったけれど、これが怪しいという部分がなかったので、やられた感はなかった。もっと驚かせる才能がある作家だから、次に期待かな。

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道尾秀介
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comments

最後の最後で「実は…」ってなりましたね。
まぁ私は毎回「あれ?」って思うところがなく
サクサク読んで後からあぁビックリなので
毎回同じようなものなのです。

なな:2008/09/01(月) 21:26 | URL | [編集]

ななさん
ミステリとしては、キレイでスマートで良くできた作品だと思いました。
だけど、謎解きに参加したかったし、怪しい雰囲気を楽しみたかった。
そこが個人的だけど残念に感じました。

しんちゃん:2008/09/02(火) 12:31 | URL | [編集]

私の場合、絶対に道尾さんの事だからどこかに仕掛けがあるはず、騙されてたまるかと疑心暗鬼になりながら読んでいたので、それすらも逆手に取るようなストレートな展開に驚かされました。
そうそう、『向日葵の咲かない夏』を読み終わりました。かなり、もやもやーです。

たまねぎ:2008/09/02(火) 23:02 | URL | [編集]

たまねぎさん
詐欺師のお話だから信用しちゃいかんということかしら。
今になって、そう思えてきました。深読みしすぎかな(笑)
「向日葵~」は・・・ねえ。あれは異色作でしたね。

しんちゃん:2008/09/03(水) 12:37 | URL | [編集]

こんばんは。
親指の話はいいエピソードでしたね。
私も思わず確かめちゃいました。
今回は後味もよくって、気分よく楽しめました。

ちきちき:2008/09/23(火) 22:08 | URL | [編集]

ちきちきさん、こんにちは。
ほんと指の話はいいエピソードだと思います。
それに確かめたくなるよね(笑)
だけど、この作風は伊坂じゃん。
こんなの道尾じゃねえ、なんて思いが^^;

しんちゃん:2008/09/24(水) 13:17 | URL | [編集]

気持ちの良い読後感でした~。
○○○が生きてて良かった♪
作風で伊坂さんを連想されてる方が多いですね~。読んでいる間は全く意識してなかったんですけど、そういわれればそうかな?って気はします。

エビノート:2008/10/01(水) 20:37 | URL | [編集]

エビノートさん
「ゴールデンスランバー」とそっくりな構成でしたね。
そこが引っかかって、伊坂は二人もいらねえ、なんて一方的に憤懣しました。
すでにそういう感情はないのですが、書いたら残りますね。やっちゃった^^;

しんちゃん:2008/10/02(木) 11:13 | URL | [編集]

最後にどんでん返しありましたけど、道尾さんらしくない騙し方でしたね。でも私はこっちの方が好きかな。いつもならこれでもかって思わせぶりな伏線があるのに、それもなくて(気付かないだけか)、素直に、フワフワと爽やかな気持ちになりました。

じゃじゃまま:2008/10/06(月) 22:00 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
怪しい怪しいと思わせて、えいっと大外刈りを掛ける。
そんないつもの道尾の方が自分は好きです。
スマートな作品で面白く読めましたけど、ドキドキが物足りなくて…。

しんちゃん:2008/10/07(火) 11:08 | URL | [編集]

指の話のエピソード、よかったですね。私も実際にやってみました。
今までとは違った作風でしたが、後味のいいラストは良かったです。

花:2008/10/30(木) 22:11 | URL | [編集]

花さん
どこからああいうエピソードを拾ってくるのか気になります。
道尾さんってこういうの多いですよね。
確かにこれまでの作風は、後味が悪かったです。
気色悪いのもあった(笑)

しんちゃん:2008/10/31(金) 11:50 | URL | [編集]

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