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    2008

09.05

「誘拐」五十嵐貴久

誘拐誘拐
(2008/07)
五十嵐 貴久

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秋月孝介が勤める旅行代理店は経営状態が厳しく、経営に介入してきたトキワ銀行の意向により、リストラを進めていた。リストラを勧告するのが孝介の仕事だった。かつてお世話になった葛原の勤務態度は真面目で、部下の管理もきちんとしていたし、リストラの対象になるような社員ではない、と意見を具申したが会社の上層部はそれを却下した。老兵は必要ない、というのがトキワ銀行から出向してきた人事担当者の言葉だった。

その葛原一家は電車に飛び込んで無理心中をするはめに陥った。葛原本人と奥さんは即死。娘の和美は重体で、臓器移植が必要な体になってしまった。孝介の娘が和美と同じ中学に通い、もう一人の女の子と三人でグループを作り、毎日のように一緒にいたことも知っていた。その翌日、娘の宏美が、パパの責任だと、そう言い残して、マンションから飛び降りて亡くなった。

一方、総理の座に就いてから、佐山憲明は政治改革に着手していた。外交方針について、世論の支持は高かった。賛否両論があったのは、経済に関する政策だ。勝ち組と負け組の区別を明確にし、日本国民のすべてが競い合う社会を目指す。能力のある者、努力した者が勝ちあがり、何もしなかった者が負ける。金で買えないものはない、というのは佐山にとって絶対の真実だった。そんな佐山にとって、一人娘の忘れ形見である百合は、ある意味で総理の椅子よりも重い唯一の存在だった。

日韓友好条約終結のため、韓国大統領が来日する。核実験を繰り返し、核兵器装備を宣言している北朝鮮に対し、事実上の日韓同盟を締結することにより、その脅威を封じ込めることが狙いだ。佐山にとって総理大臣就任以来、ある意味で最も重要な会議になるはずだった。その韓国大統領来日を二日後に控え、警視庁はその総力を挙げて警備に当たっていた。その最中、事件は起きた。総理の孫が誘拐された。百合を誘拐した犯人は、秋月孝介と元同僚の関口順子だった。

これ以上、内容については触れないが、とにかくがっつり読ませる作品だ。ここにある犯罪自体は、個別に見るとありふれたものだけれど、それらを見事に融合させて、壮大なスケールの誘拐犯VS警視庁を作りあげている。そして、経済の在り方にも警笛を鳴らしている。ただ、反日意識の高い韓国の件では夢物語の感があり、パートナの順子が書ききれていないことや、送り状に書かれた名前のちょんぼにも違和感があるなど、少々の荒っぽさはあるが、それらを差し引いても面白く読むことができた。最近の五十嵐貴久はすごい。エンタメとして、ミステリとして、そして、警察小説としても読める、読後感の良い作品だった。お薦め。

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五十嵐貴久
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comments

こんにちは。
私も宅急便の送り状のミスは、ちょっとありえないという気がしたけど、誘拐犯vs警視庁のやりとりや孫娘が解放されてからのストーリーなど、緻密に描かれていてがっつり読ませる作品でしたね。
それにしても今年は五十嵐作品が多いですね。

そうそう、町田康さんの「宿屋めぐり」を図書館で借りてきたんですが、予想以上の厚さだ~!
図書館の人も、「枕にできるわね」と言っておりました(笑)。


mint:2008/09/08(月) 09:59 | URL | [編集]

mintさん、こんにちは。
あれやこれを盛り込んだ構成力がすごかったですね。
誘拐犯の真の目的も、とにかく最後まで読ませる作品でした。
急激な出版ラッシュですが、昨年12月に専業作家になったそうです。

「宿屋めぐり」そうとうな体力を使いました。
なにしろ重い(笑)

しんちゃん:2008/09/08(月) 11:47 | URL | [編集]

面白かったですね~。
緊迫感ありました。
誘拐の手口は新鮮で驚きました。
ラストのあれはちょんぼなんですかね?
私は秋月さんの良心って思ったんですが…

ちきちき:2008/09/10(水) 21:49 | URL | [編集]

ちきちきさん
これはおもしろかったですね。
誘拐の目的はこうきたかって感じでした。
ラストのあれは自分もそう思いたかったです。
だけど臆病で綿密な計画の第一歩でしょ。
うーん、どうだろう。

しんちゃん:2008/09/11(木) 10:50 | URL | [編集]

しんちゃんのお薦めあったから、図書館に予約
したんだけど、250人待ちだった!!
遅かったらしい。でも来るまでゆっくり楽しみに待つことにしたよ(^^)
またお薦め新作とか、教えてね♪

まる:2008/09/11(木) 17:19 | URL | [編集]

まるさん
250人待ちってすごい!と思って大阪でも調べてみました。
270人待ち......。1番に読めてラッキーでした^^
警察もので当たりがあると、また言うよ。

しんちゃん:2008/09/12(金) 12:37 | URL | [編集]

こんばんは。
ラストはわざとなんだろうなぁって思いました。
かばってるんですよね。容疑が自分に向くように。

なな:2008/09/12(金) 18:54 | URL | [編集]

ななさん
あれってわざとなんですかね~。
かばうことまで計算に入れるなら、書かなきゃいいのに。
なんかスッキリしないです。

しんちゃん:2008/09/13(土) 10:44 | URL | [編集]

こんばんは~♪
私もあのポカミスが・・・うーん、あれだけ用意周到にしていたのに、なぜこれだけ??ってちょっと納得がいかなかったですねぇ。でも、なんだかんだと不満はありつつも面白く読めました。(^^ゞ
これが五十嵐作品の初読みだったんですが、少しずつ他作品も開拓していきたいと思っています。オススメ&情報どうもありがとう~(^^)

板栗香:2008/11/20(木) 17:40 | URL | [編集]

板栗香さん、こんばんは。
あれはもやもや感が残りますよね。
それまでトントンときた物語が、あんなので崩れるのは納得しずらいです。
でもそれを差し引いても面白く読めましたけど。
また出しゃばりをしたいと思います(笑)

しんちゃん:2008/11/20(木) 18:07 | URL | [編集]

後半の方がよかったですね。
前半はとにかく説明が長くて、なかなか事件そのものが進まないから、え~~い!って感じでした。(苦笑)
個人的には、秋月に責任を押し付けてた上司をどうにかしたかったですけど。(爆)

じゃじゃまま:2008/11/24(月) 17:39 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
ちょっと説明が長くてもったいぶった感じは受けましたね。
人事担当者はムカつくよね~。犯人にしたてあげたら面白かったのに。
これではブラックコメディか(笑)

しんちゃん:2008/11/24(月) 20:29 | URL | [編集]

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