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    2008

09.06

「角」ヒキタクニオ

角
(2005/10/20)
ヒキタ クニオ

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自分のくしゃみが部屋に響いた。麻起子の喉にジガジガしたものが張りついたかと思うと、喉は激しく咳き込んだ。堪らず麻起子は目を開けた。うっすらと明るい部屋を見回すと、金銭的にも精神的にもゲンナリする事実が麻起子の目に映った。一週間前に大枚一万八千円を払って購入した高級羽毛安眠まくらが裂かれたように破れていた。羽毛を白い腸のように吐き出した安眠まくらは、ぺしゃんこに萎んでいる。麻起子は大きくため息をつき、立ち上がって洗面所に向かった。麻起子は鏡の前に立った。えっ。麻起子の頭の上には一本の角が生えていた。

麻起子の頭頂部には、チョココロネのように巻いた髪が前方に向かって突き立っている。クラブのチーママのような髪型なので、チーママの巻き髪と、チーママの麻起子を略して掛けてチー巻きと呼ばれた。何度も角を切ろうと試みたが、出来なかった。最も角を切ることを躊躇わせたのは、角が自分の心に反応しているような気がするからだ。麻起子の感情が揺れるとき、角の芯がつっと冷たくなったり、角全体がぽっと温かく感じたりすることがあった。それは自分の思い過ごしかもしれないけれど、もしそうであったなら、と考えると切ることには踏み切れないでいた。

今まで通り出版社の校閲部で仕事をこなす麻起子の日常。同じ出版社で雑誌記者をやっている彼氏の山平。日本語は潮光社校閲部が守るというスローガンを掲げている並木部長。低次元に発想が広がるミステリーが得意分野の山之辺。博学で新書やビジネス書が得意な田所。初校の前に鉛筆で作家の原稿を汚してしまう編集者の小内田。そして、校閲部とことあるごとに揉めている新人作家の保田。

角が生えたからといって、特別なことは何も怒らない。分かりやすく言えば、出版社で働く人たちによるドタバダ劇である。角が生えて、失踪者を探して、忘年会をして、香港旅行をして、文学論を闘わせて、作家の担当を外れたくなくて、角の秘密を守り、恋に揺れ、ラストを迎える。少し中だるみはあるが、気軽に読めるお仕事小説というところだ。よって、出版社の内幕に興味がある方なら面白く読めるかも。ただ、ヒキタ作品としてはインパクトが欠けていたように思う。

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ヒキタクニオ
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