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    2008

09.15

「うたうひと」小路幸也

うたうひとうたうひと
(2008/07/23)
小路 幸也

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涙をうたうひと、友をうたうひと、愛をうたうひと、悲しみをうたうひと、待ち人をうたうひと、希望をうたうひと、夢をうたうひと。誰にでも歌いたい歌がある。歌にまつわる七つの短編集。

「クラプトンの涙」
娘のマイと同じ名前をもつ女性インタビュアーの質問に、元名ギタリストは昔を思い出しながら語りだす。泣かせるギターを弾くと言われたが、自分は泣いたことがなかった。祖父に買ってもらった最初のギターとの出会い。中学時代から最初のバンドの絶頂期に突然姿を消すまでの十何年間、ボーカリストであり、たた一人の愛する女性であったアンリのこと。

「左側のボーカリスト」
ケントとショウは公私共に仲の良いデュオだった。幼なじみで、お互いにお互いのことが手に取るようにわかった。ショウの世界にケントが色をつけて、ケントの色にショウが色を重ねる。そんなふうにして、二人は、二人だけの、二人しか作れない曲を作っていた。そのデュオは消滅した。ケントは十五年ぶりにステージに立つ。その左側の立ち位置を開けて。

「唇に愛を」
ホーンセクションのバンドといっても、メインに立つボーカルによって名前がころころ変わる単なるバックバンドでしかなかった。メンバー全員がリーダーのコーイチさんと音楽をやってきた先輩後輩同輩で、音楽を職業にして、楽しかったし、嬉しかった。伊東ミキwithウルトラホーンは売れた。そこにペットのゴトーとミキが恋に落ちた。問題は事務所だった。

「バラードを」
盲目の歌姫が突然の引退宣言をしたのは八ヶ月前のことだ。彼女の人気は常にトップクラスに位置していた。マスコミはもちろん、彼女のファンたちがその理由を知りたがったが、彼女は沈黙を続けた。むろん、その沈黙をそのまま続けさせるほど業界も優しくはない。そこにフィクション作家である自分に白羽の矢が立った。彼女が熱心なファンで、その話にOKを出したからだ。

「笑うライオン」
四人全員が幼なじみというロックバンド、ディローグ。ドラム担当の笑うライオンことザキは、ライブ中に髪の毛がライオンのタテガミみたいになる。笑うのは楽しいから。新曲のレコーディングを控えた時、折り合いの悪かった母が倒れた。その看病のため、実家に戻ったザキ自身も全治三ヶ月の重症を負った。助っ人ドラムスで録音した新曲が空前の大ヒット。自分の存在意義を疑う。

「その夜に歌う」
ピアノ・バーのオーナーであるジョーは、今日が特別な一日であることを知っている。エリックがこの店にやってきたのは三年前だった。音楽の才能があった彼は、あっという間にこの街の有名人になっていた。ウェイトレスとして働くミンディにとって、今日は約束の日だった。二年後の今日、帰ってきたら、結婚しようとエリックがミンディに言ったのだ。

「明日を笑え」
米軍キャンプでロカビリーの代役をすることになってしまったハワイアンのバンド。自分で言うのもなんだけどヘタ。とてもキャンプの連中が満足するとは思えなかった。そこで演奏の合間にギャグをかますことにした。大爆笑の嵐で、それをきっかけに自分たちのテレビ番組を持つに至った。そしてイギリスが生んだ世紀のスーパースターの前座に選ばれてしまった。

最近の小路作品はツメが甘いと書いてきたが、本書に限ってはその言葉を撤回したい。すごくオチが切れている。絶品ともいえるほどの切れ味だ。長編作家の短篇となると、ふつうぼやけてしまう作品が多い。それがより内容密度の濃い短篇作品に仕上がっていた。「クラプトンの涙」では実はという真相がミステリだし、「左側のボーカリスト」ではエンターテイメント性が抜群だし、「唇に愛を」では仲間が取った行動がドラマティックだし、「バラードを」では引退した女性がミステリアスだし、「笑うライオン」では仲間たちの気持ちがブラボーだし、「その夜に歌う」では愛の力がミラクルを呼び、「明日を笑え」ではドリフやないかとツッコミを入れる。

すべてと言っても構わないぐらい秀作揃いだった。そんな中でも好みを選ぶとなると、「左側のボーカリスト」「唇に愛を」「笑うライオン」かな。それ以外の作品もレベルが高い。小路幸也の短篇はすごいかもしれない。これが初短編だと言うのにもビックリ。これは買って正解だった。

サイン本なのだ。

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comments

こんばんは。
小路さんの初短編集だったんですね。
私も最初の一つを読んだ時に「これはすごい短編集かも」って思って、早く読みたいけど勿体ないってジレンマに陥りながら読んでました。

なな:2008/09/15(月) 21:14 | URL | [編集]

ななさん、こんにちは。
これはすごくいい短編集だと自分も思いました。
また書いてくれって感じです。もっともっと短編集を読みたいですよね。

しんちゃん:2008/09/16(火) 13:03 | URL | [編集]

こんばんは。
あれ?初短編集だったんですね。連作とかになってるので、純粋に短編集って初なのかあ。

気持ちいい読み心地の作品でした。
人とひととのつながりがあったかくて心にしみました。

ちきちき:2008/09/28(日) 20:36 | URL | [編集]

ちきちきさん、こんにちは。
これが初短篇だったと思うよ。「バンドワゴン」は抜いて。
世界は繋がっているけど、連作とは少し違うし。どうでもいいか。

気持ちよくなれる作品でしたね。
これは最近の中では一番好きでした。

しんちゃん:2008/09/29(月) 12:22 | URL | [編集]

買って正解のしんちゃんには申し訳ないのですが、読みきれないで終わってしまいました。
どうも気分が乗らなくて、一つ目読んで、二つ目の途中で諦めてしまいました。(ため息)

じゃじゃまま:2008/10/04(土) 22:19 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
まあ、合わないならしょうがないですね。
でも三つ目が良かったのに。

しんちゃん:2008/10/05(日) 16:22 | URL | [編集]

初の短編集なのですね。
小路さんは全て読んだわけではないですが、そういえば短編は読んだことないなと思いました。

私もこの作品はとても好きです。
どの話にも愛が溢れていました。

Yuki:2008/10/11(土) 11:04 | URL | [編集]

Yukiさん
えっへん、全部読んでいます(笑) コンプ作家です。
でもだからこそ、最近の出版ラッシュに必死よ。なぜか毎月出てるし。
これはほんとに粒揃いの短編集でしたね。

しんちゃん:2008/10/11(土) 19:33 | URL | [編集]

各短編でのリンクももちろんだけど、
それ以上に各短編のどれもが素敵でした。
最初の短編からぐっときて、最後までその勢いが落ちなかったのはすばらしい!

エビノート:2008/11/06(木) 20:15 | URL | [編集]

エビノートさん
リンクは途中でなくなったような気がしました。
自分が気づかなかっただけでしょうか。
どれもが甲乙つけがたい、いい作品ばかりでしたね~。

しんちゃん:2008/11/07(金) 17:35 | URL | [編集]

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