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    2008

09.24

「しらみつぶしの時計」法月綸太郎

しらみつぶしの時計しらみつぶしの時計
(2008/07/23)
法月 綸太郎

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林太郎は登場するが、作家探偵の法月綸太郎は登場しない、ノン・シリーズ10編を収録。買ったものの、読み始めるまで長編だと思い込んでいた短編集。(おい)

「使用中」
中堅推理作家の新谷が半人前編集者の桐原に対して、こういう作品の案があると熱弁を奮う。犯人は何の小細工もしないで、犯行現場から一度は立ち去る。それからすぐに、自分の犯行が発覚する決定的な証拠を残してきたことに気づいて、現場にとんぼ返りする。ところが、鍵もかけずに出てきたはずのドアが、目を離したわずかの隙に内側からロックされていて、中に入りたくても入れない。そのシチュエーション通りの殺人事件が起こる。犯行現場は男子トイレ個室。殺されたのは推理作家の新谷。そのとき編集者の桐原は――。トイレの個室という設定が面白い。トリックに重点を置かず、どうなるのかという興味を持たせる終わり方もグッド。

「ダブル・プレイ」
その日は、木島省平と牧子の結婚記念日だった。しかし、省平はそのことを失念していた。牧子が記念日のことを口にしたのは、夫に対する執念深いいやがらせ以外の何者でもなかった。夫婦の関係は冷えきっていた。その夜の牧子は普段にもましてしつこく、たちが悪かった。牧子に対する憎悪がふくらんで、木島は目に見える具体的な結果を切望するようになっていた。そこにタイミングよく、自分と同類だという男が声をかけてきた。絶対に安全なアリバイを確保しながら、邪魔な人間を消す。交換殺人の計画を持ちかけてきたのだ――。上を行くつもりが、さらに上を行く者がいた。こういうブラックな作品は好きだ。

「素人芸」
その夜、塚本保雄は十時過ぎに帰宅した。アパートの一室で、早苗が待っている。浪費癖があるくせにパートにも出ず、一日中のうのうと過ごしている妻のことを考えると、鬱屈した不満と疲労感がいっそう募った。台所に早苗の姿はなかった。その向こうにある和室からあたふたと立ち動く気配が伝わってきた。断りもなしに、七万円もする腹話術の人形を通販で買い、押入れに隠していたのだ。腹話術の名人をTVで見て、自分もマスターして腹話術で稼ぐと言い出す始末。保雄の気持ちは治まらず。気がつくと、早苗を殺していた――。この妻や隣人の女は、確かにウザい。オチに愛嬌はあるが、早苗の死の瞬間に聞こえた声は誰の声?ちょっと怖いかも。

「盗まれた手紙」
愛国者の将軍は、かねてから汚職の噂が絶えない長官の収賄の証拠をつかんだ。保身を迫られた長官は、シャルラッハの組織を動かして、政敵のプライベートな弱みを握ろうとし、中央郵便局にもぐりこませたスパイを通じて、将軍の美しい若妻がモンテネグロ博士に送った恋文を入手するのに成功した。その手紙の破棄と引き換えに、汚職の告発を取り下げるよう圧力をかけてきた。夫人は将軍の紋章が入った鉄の状箱に恋文を入れ、二つの南京錠かけたうえで、博士の許へ送るようにしていた。その手紙を盗んだ手口とは――。こういった翻訳系は苦手。もったいぶった言い回しがヤだし、日本人なら日本人を描けと反発してしまう。

「イン・メモリアム」
Sさんというデビューの時から世話になっていた編集者から、評議会のコンペに参加してみないかと誘われた。評議会とは、才能と実力を認められた作家だけが入会を許される文壇内の秘密結社めいたものらしい。ただし評議会の会員になるためには、ひとつ条件があるという。誰でもいいから、存命中の有力作家の追悼文を書かなければならない。参加者が未来の追悼文を持ち寄って、ナンバーワンを決める。私はその誘いに乗った。私は自分が一番影響を受け、作家として目標にしているT先生の追悼文を書くことにした――。3ページ強という短さからか、意味がよく読み取れなかった。

「猫の巡礼」
飼い猫のみどろが九歳になったので、定期健診とフィラリアの薬をもらうために、夫婦そろって、かかりつけの動物病院へ行く。「異常なし」とカルテに書き込んでから、女医さんはあらたまった口調で言った。そろそろ巡礼に行く年頃ですけど、どうされますか? いつもとちがう問いかけに、ぼくと妻は顔を見合わせた。年をとった猫はある日ふっと人前から姿を消して、一ヶ月か二ヶ月してから、何くわぬ顔で戻ってくるという。まだ足腰のしっかりしている間に、猫の聖地へはるばる赴いて、前半生のけがれを祓うために――。ノン・ミステリで、不思議な雰囲気を持った作品。猫好きにはほろっとくること間違いなし。これはすごく良かった。

「四色問題」
被害者はテレビの特撮シリーズ「クロノレンジャー」に出ていたヒロイン役の女性で、デビューする前は、本職の看護婦をしていた。彼女は犯人に腹を刺されたあと、どういうわけだか右手首の腕時計はずし、利き腕の左手首をナイフで二本クロスするように切っていた。手首の傷は、犯人の名前を知らせるために書き残した、ダイイング・メッセージだ。そして犯人は「クロノレンジャー」の共演者の中にいるとしか考えられない。以前撮影所内で盗撮された破廉恥映像が流出し、その盗撮犯人を自分の部屋におびき寄せて、直接対決をもくろんでいたのだ――。都筑道夫の「退職刑事」を転用した作品。子供に聞かせないよう、声をひそめる部分までそっくり。でもちょっとまわりくどいかなあ。

「幽霊をやとった女」
クォート・ギャロンというおひとよしの私立探偵が、女房と一緒に寝ていた部下を、拳銃の台尻で冥途に送りかけたのは、もう五年前のことだ。そのとき持兇器暴行現行犯でひっぱられ、私立探偵の認可証をとりあげられた。おちぶれはてた私立探偵は、いまはニューヨークの裏町で、ルンペンたちと暮らしていた。この裏町でさえ、ひとは悩みを持っている。この裏町でさえ、ひとはおれのところへやってくる。夫が急に護身用の拳銃を手に入れて、肌身はなさず持ち歩くようになった。怯えている原因を突き止めてくれと依頼――。いわゆるハードボイルド・ミステリ。謎自体はそんなに難しいものではなかった。

「しらみつぶしの時計」
その施設は円柱状の建物で、完全に外部から遮断されることになっている。出入口はゲームの開始と同時に外側からロックされる。そして、ゲームが終了するまでこのロックが解除されることもない。施設の回廊には一四四〇個の時計がランダムに配置されている。一四四〇という数字は、二四時間×六〇分、すなわち一日を一分刻みに細切れにしたものの総数だ。一四四〇個の時計は、たったひとつの例外もなく、すべて異なった時刻に合わせてある。与えられた課題は、六時間以内に、唯一正しい時を刻む時計を見つけること――。表題作だけど、こういうパズルっぽいのは苦手。体質的に受け付けないようになっている。ほんとか。

「トゥ・オブ・アス」
その事件の犯人は、木下悠子という二十五歳のOLだ。殺された北沢靖子は、木下悠子と同じ部屋で一緒に暮らしていた。二人は高校時代に三年間ずっと同級生だった。小さな鍵を握った北沢靖子が絞殺体で見つかり、木下悠子は逃げていた。社会面の小さな写真を見て、間宮は自分の眼を疑った。殺された北沢靖子さん(二五)。彼が木下悠子として知っていたはずの女。二ヶ月前に街で偶然に出会い、それから交際を始めて急速に親しくなった女。夜の凪に閉じこもっていた彼に温かい手を差し伸べてくれたはずの女だった。なぜ悠子が――。デビュー前の作品らしく、文章や構成に若さが見える。また作家とその父の警視が登場するが、微妙に名前が違っている。人間ドラマの切なさが余韻を引いた。

お気に入りは、「使用中」「ダブル・プレイ」「素人芸」「猫の巡礼」「トゥ・オブ・アス」の五作品だった。野球でいう10打数5安打。面白率は5割。これって高確率なんだろうか。

なんかめっちゃ書いたな。サイン本だから力が入った?

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法月綸太郎
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comments

へえ。さすがのサイン本。
法月さんの字、はじめて見ました(って大概の人ははじめて見るんですが(^_^;)

バラエティに富んだ作品集でしたね。
>日本人なら日本人を描け
に笑ってしまいました。
その通りだと思います。
何ゆえ、翻訳調にせねばならないのか?不思議です。
それにしても面白いと思ったの、一緒です。私は論理パズル好きなので表題作も嫌いじゃないですが。

ちきちき:2008/09/25(木) 21:30 | URL | [編集]

ちきちきさん
また釣られて買っちゃいました。

翻訳ものが読みたい人は、翻訳を手に取るちゅうねん。
和書が読みたいのに、なんでものまねをするねん。
なんて思ったので、つい^^;

しんちゃん:2008/09/26(金) 13:01 | URL | [編集]

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しらみつぶしの時計


JUGEMテーマ:読書 すべて異なる時を刻む1440個の時計 その中から唯一正確な時計を探し出せ―― 神の命題か、悪魔の謎かけか!? 本格ミステリの名手が放つ、驚愕の推理、極限の論理(ロジック)! 無数の時計が配置された不思議な回廊。その閉ざされた施設の中の時

2008/09/25(木) 21:31 | ぼちぼち

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