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    2008

10.07

「婚礼、葬礼、その他」津村記久子

婚礼、葬礼、その他婚礼、葬礼、その他
(2008/07)
津村 記久子

商品詳細を見る

表題作と「冷たい十字路」の二編を収録。

「婚礼、葬礼、その他」
大学のハイキングサークルの同級生である友美から、結婚をするのだが、二次会の幹事とスピーチを引き受けて欲しい、という手紙が届いていたのは、会社の帰りに旅行代理店に寄った夜のことだった。式の日は、ヨシノが先ほど予約してきた旅行の日程の最後の日でもあった。ヨシノも知っている内田君と結婚するのだそうだ。友美と内田君の結婚式はよほど参加したい行事だし、と申し込んだその日に代理店に断りを入れた。

式の日の明け方に見慣れない番号の着歴があることを発見した。電車を降りたときにもヨシノの携帯を鳴らしたが、相手にしなかった。知らない番号は相手にしないのが信条だった。屋久島で聞くはずだった雨の音を頭に思い浮かべながら放心しているうちに、結婚式は終わってしまった。披露宴の会場へ移動する途中、携帯の電源を入れると、その瞬間に着信音が鳴り響いた。見覚えのある着信番号に、ヨシノはいいかげん腹が立って、なんの業者か確かめてやろうと通話ボタンを押した。職場の常務だった。上司の父親が亡くなり、今晩お通夜だという。ヨシノの慌ただしい一日を描いた作品。

友達の結婚式と上司の父親の葬儀なら、結婚式を優先してもいいような気がしたのだけど。しかもすでに出席していることだし、スピーチも二次会の幹事も引き受けているわけだし。だけど、ヨシノは式を途中で抜けてお通夜へ向かう。そこが少し引っかかったけれど、そのお通夜がまあ、酷いお通夜で、披露宴での料理を期待して、今日は何も口にしていないので腹はぐうぐうなるわ、故人の愛人同士の喧嘩に巻き込まれるわ、死んだジジイは孫に嫌われ、長女は涙を流す自信がない。しかも結婚式場からかかってきた電話はピンチの電話。人の不幸ってなんて楽しいんだろう。そういう黒い甘い蜜が楽しめた作品だった。

「冷たい十字路」
すっとばしている自転車がつぎつぎとやってくる。地下鉄の駅が面している交差点は、二つの高校と一つの小学校の通学路が交わっている。おまけに角には二十四時間スーパーがあり、混雑に拍車をかけている。その向かいの古びた建物の産婦人科は、スーパーと対照的に静まり返っているが、自転車通学者に玄関先の植木鉢などを引っ掛けられてときどき悲惨なことになっている。

両校の生徒は、お世辞にも道を譲り合ってうまくやっているとはいえない。高校生たちはスピードを落とそうとしないし、横に広がって走るのもやめようとしない。そういう連中が、前からも後からもやってくる。小学生は、そんな物騒な歩道を通って毎朝通学している。ガシャン。金属がぶつかる鋭い音があがった。高校生たちが自転車と絡み合うようにして地面に落ちていた。遅刻するわけにはいかない人々が、ほとんど一瞥すらせずにその横を通り過ぎていく。

忙しい人々。無関心な人々。マナーの悪い自転車運転。道を自分たちだけのものだと勘違いしている人。これがリアルすぎて怖い。付け加えると、メールをしながらふらふらしている若者や、すれ違うたびにきゃっと自転車を降りるおばちゃんや、日傘をさして道の真ん中を走る女の人。歩道に乗り上げて駐車している車。むかつく奴らを挙げ出したらキリがない。そうして起こるべくして起こった衝突事故。この事故を、周辺にいる人たちの多視点で見ることで、事故の真相が見え隠れしてくる。これってホラーより怖いかも。だけど、上手いなあ。

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津村記久子
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comments

こんにちは。
先日、私も題名が気になり、読み終えました。津村作品初めて読みましたが、ファンになりそう。うまいですね。さらっと読めちゃう中に、考えさせられることいっぱい詰まっていますよね。他の作品も読みたいと思いました。

percy:2008/10/08(水) 08:58 | URL | [編集]

percyさん、こんにちは。
津村さん、いいよね~。まだ二冊しか読めていませんが好きかも。
今の内にツバをつけなくては(笑)

しんちゃん:2008/10/08(水) 16:06 | URL | [編集]

しんちゃんさんこんばんは。歩道を塞ぐなと叫びたくなりますよね。田舎では完全に指定席化しているような車もいたりして、しょっちゅうムキーッとなってます(汗)

たまねぎ:2008/10/11(土) 00:20 | URL | [編集]

たまねぎさん、こんばんは。
これを読むと、マナーの悪さに熱くなってしまうよね。
通り過ぎるときに、蹴ってやろうかと思います。思うだけよ^^;

しんちゃん:2008/10/11(土) 19:27 | URL | [編集]

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