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    2008

10.10

「偏路」本谷有希子

偏路偏路
(2008/09)
本谷 有希子

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元旦。場所は四国。木多若月は、遍路の通り道に面した従兄妹の家にいた。リビングでは、父の宗生、伯母の和江、従兄のノリユキがこたつを囲んでいる。少し離れたダイニングテーブルで若月が雑煮を食べている。従姉の知未はガムを噛みながら年賀状を書いているらしく、芋版を押している。ハートフルな会話が飛び交う中、若月は沈黙を続けていた。実は所属する劇団が解散することになり、女優になる夢を諦め都落ちしたい、実家に帰りたいと打ち明けるために、おとんが二泊したら遍路に行くというのに付いてきたのだ。

九年前、若月は両親の反対を押し切り東京に出た。さらに出て行く時、仕送りをくれんかったらホステスになるって無理やり強迫して、好き勝手で家族を振り回していた。「都落ちしたい」 その言葉を聞いた宗生は激怒。若月もまた逆ギレ。間に入った和江に背中を押されて、「申し訳ありませんでした。都落ち、させて下さい」と若月がいうと、「じゃあ、わしが、あんたの反対に、東京に行くわ」と宗生。ずっとノートに自分が感じたこと思ったことを全部したためていたので、それを出版してもらいに東京に行くと言い出したのだ。

若月は浅い人生で満足している親戚を見て、田舎でやっていく自信をさらになくし、父の宗生は奇人ぶりを発揮して、ただただ物事を掻き回し続ける。ノリユキは知未の貯金をすべて遣ってしまい、知未は三十超えて働かない兄を責め、和江はおろおろ、遊びにきた和江の従妹の依子は、我が物顔で家中を引っ掻き回す。田舎の親戚宅で繰り広げるドタバタの数々。夢を追うことの痛みと、諦めることの苦み。温かくも不気味な、田舎の人々。そして、父と娘の間にある、一筋縄ではいかない愛情。夢と現実、愛と確執の物語。

戯曲作の第二弾は、父娘、そして親戚。というわけで、巻末には本谷家父娘対談が収録されている。この対談で、実際に父娘間であったエピソードが作品のベースになっていると、明らかにされている。自分のおとんなら嫌だけど、傍から見るぶんなら面白い親父さんだ。それに仲良さそうだけど、向かい合って座るの、なんか気持ち悪い、と避ける本谷さんが、わかる。これって自分だけかと思っていた。正面も気持ち悪いけど、真横も気持ち悪いんだよなあ。

そろそろ作品のことに触れていく。パンチの効きは若干弱いかもしれないが、時折ブーーっと吹き出すほどの笑いがあって、いつもの身勝手さが渦巻いており、善意の人が実は残酷な人だったりと、ブラックぶりは健在だった。それに、ダメな人ほどかわいく思えてしまうのは、自分もダメな人だからでしょうか。初めは戯曲の台本風に馴染めなかったけれど、慣れてくると、これがスピード感を生み、ぽんぽんとリズム良く読めて、あっという間に読み終えてしまった。やっぱり本谷有希子はいい。これからも買って読んで行きたい作家だ。

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本谷有希子
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