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    2008

10.11

「岬バーガー」本馬英治

岬バーガー岬バーガー
(2008/07/11)
本馬 英治

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海と漁船と小さな山々とトンネルと古い町。岬の真下には、地元でも穴場的なサーフポイントがある。それが高校二年生の涼の生きている世界だ。ケンとは中学時代からの付き合いで、サーフィンも一緒にはじめた。友達の家の庭で野ざらしになっているサーフボードを見つけたのがきっかけだった。友達のお姉さんが使っていたもので、色が全面ピンクでも気にならなかった。あのサーフボードがなかったら、今でも話していなかったかもしれない。

岬下には、三人のサーファーが亡くなる悲劇があったという。ひとりの少女とふたりの少年。三人とも十七歳でとにかく仲がよく、いつも一緒だったという。ところがある凪の日、突然の高波が少女を連れ去ってしまった。なぜかその日に限って少女はひとりで海に入っていたらしい。翌朝になって、変わり果てた姿で少女が発見されると、少年ふたりもあとを追って、次々と岬の崖から身を投げたのだという。以来、黙祷を捧げてから海に入るというのが当たり前の儀式になった。

ほのかに想いを寄せる同じクラスの凛がサーフィンをやりたいと言い出した。彼女もまたサーフィンという魔法にかかった。ある日、学校帰りに三人で岬に行くと、見なれない軽トラックが停まっていた。男はここでハンバーガースタンドをはじめると言い、小屋を建てはじめた。男は南雲哲也と名乗った。やがて小屋は完成した。看板には白地に青い文字で《MISAKI BURGER》と書かれた。

まあまあ面白く読めたけれど、爽快という作品ではなかった。少年ふたりと少女ひとりは、サーフィンを通じてきずなを強めていく。彼らは賑やかに浮かれているではなく、どこかクールで、時折甘酸っぱくて、まるで一昔前の和製青春映画のようだ。夏休みに入ると、三人は岬バーガーで働きはじめる。僕たちの場所で働いて、サーフィンをして、充実した毎日を過ごす。しかし、平穏な日々はそう長くは続かなかった。岬にリゾートホテルが建つ、という決定した事実が突然降りかかってくるのだ。立ち退かせ屋による暗い陰湿な暴力に、岬バーガーが、僕たちの世界が侵されていく。

青春物語であるのとともに、環境破壊もテーマになっているのが本書だ。砂浜に流れ着く人間によるゴミ。それを拾い集めるボランティア。開発による廃棄物のせいで赤黒く濁った潮。すべての生命は海から始まっているはずなのに、自らの手で汚していく人間たち。海を愛する人がいれば、海を壊していく人がいる。そういう本書だからこそ、爽快とはいい切れない複雑な余韻を残すのだ。著者は海が好きなんだろうな。それもきれいな海が。

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