2008
![]() | 地図男 (ダ・ヴィンチブックス) (2008/09/03) 真藤順丈 商品詳細を見る |
雑誌「ダ・ヴィンチ」の特集で絶賛されていたのを見て読みたくなった。借りてから知ったがこれって第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作ではないか。身内を持ち上げた記事に引っかかってしまったのか。とりあえず、読んでみることにした。
フリーの助監督の俺は、ロケハンを前にした下調べで撮影の候補地をリスストアップするために街を歩いていると、関東地域大判地図帖を小脇に抱えた漂浪者と遭遇した。地図帖には、意味不明のマーキングと、軌跡をえがく矢印、そのすきまを埋めつくす書き込み、書き込み、書き込み。記入はどれも、物語の断片だ。矢印にしたがって、物語の断片を順番に回収していくと、しだいに見えてくる。地図上にえがく人物たちの物語群がだ。
その地図帖の持ち主は地図男だ。その素性をまるで知らないし、本人に質問をぶつけてみたところで、満足な答えが返ってきたためしがない。年齢は不詳。とにかく神出鬼没である。地図帖の内容どおり、関東エリアを行動範囲にしているらしい。そしてありとあらゆる場所を正確に把握している。それに物語を量産させている理由に関しても、なにもわからない。地図男が地図帖を開くとき、物語を地図男は誰に語っているのか。ともあれ、俺は地図帖の物語を読むしかない。
千葉県北部を旅する絶対音感を持った天才児Mの物語。東京二十三区に住む夜の住人たちの地元愛と矜持をかけた壮絶な激闘。そして、多摩川を境にその運命を隔てられた、男の子と女の子の物語。物語に没入した俺は、次第にそこに秘められた謎の真相に迫っていく。といった、かなり変テコな内容の作品だ。読み始めは、何これという感想。中盤になっても、何これという感想。最後の最後になって、そういうことかとやっと理解できる。
はっきり言うと苦手な作品だった。たぶん、この本の薄さじゃなければ、途中で放り投げていた。つまらない、つまらない、眠たい、と我慢しながら読んで、ラストに来て、やっとおおっとなった。だけど、カタルシスを得るほどではない。作風の変わる作中作は苦手だし、たった一つのキーを繋ぐためだけに、スカスカの物語を三つも読まされる意味がわからない。とにかくもったいぶったところが自分とは合わなかった。この作家はもういいかな。
結果、あの特集記事はやりすぎでしょ。でもこれは個人的な意見であって、この真藤順丈という人、実は四冠を取ったすごい新人なんだよな〜。
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