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    2008

10.27

「悪人」吉田修一

悪人悪人
(2007/04/06)
吉田 修一

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佐賀―福岡を結ぶ遠い昔に見捨てられた峠道。この三瀬峠の崖下で若い女性の絞殺死体が発見された。被害者は石橋佳乃。今年の春、短大を卒業し、福岡市内で保険の外交員を始めた彼女は、久留米で理容店をしている実家を離れて、職場に近い会社の借り上げアパートに引っ越していた。その彼女を最後に見たのは、このアパートで佳乃がもっとも親しく付き合っている同僚二人だった。

その夜、同僚三人で外食に出かけた際、現在付き合っているという大学生の増尾圭吾と、この後会う予定だと彼女は匂わせていた。この同僚の証言により、警察は増尾圭吾を重要参考人として捜索しているが、彼はここ三、四日前から、行方がわからなくなっていた。しかし、佳乃が実際に待ち合わせをしていたのはその男ではなかった。増尾からなかなかメールが来ないのに焦れて、つい退屈しのぎに登録した出会い系サイトで知り合った男の一人、長崎市郊外に住む若い土木作業員、清水裕一だった。

その一方。なんでもない。メールで知り合った男と会うくらいなんでもない。車までくると、裕一は助手席のドアを開けてくれた。出会ったばかりの男なのに、馬込光代はまったくと言っていいほど不安がなかった。「ホテルにいかん?」こんなにギラギラした性欲を目の当たりにするのは久しぶりだった。「行ってもよかよ」セックスなんかどうでもよかった。ただ、誰かと抱き合いたかった。抱き合える誰かを、もう何年も求めていた。自分のことを抱きたいと思ってくれる人に、強く抱きしめてもらいたかった。

重要参考人として指名手配されていた増尾圭吾が、警官に身柄を拘束された。そして警察の捜査が裕一へ。なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう。もっと早く光代に会っていれば、こんなことにならなかった。逃げられるわけがないのは知っている。ただ、光代はとにかくこの場から逃れたかった。今は裕一と別れたくなかった。こうして二人は逃避行に及んだ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。

痛いお馬鹿な嘘つき女が、無責任で身勝手な男に惚れたのは不幸。そのお馬鹿な女に、適当に遊ばれてしまった男も不幸。寂しさを埋めてくれる男に出会ったら、その男が殺人者だった女も不幸。イライラしているところに拾った女が、余計にイライラさせる女だった男は。誰が本当の悪人だろう。その一方で、何不自由なく育てた娘を殺された両親、母親に捨てられた孫を育てた被疑者の祖母がいる。

もし、裕一が石橋佳乃よりも光代と先に出会っていたなら。そう考えてみても、石橋佳乃はやっぱり痛い目に合ったかもしれない、増尾圭吾もしかり。しかし、裕一と光代には違った可能性があったかもしれない。殺人犯に対して、ふつうなら怒りがくるはずなのに、殺された被害者の女や、遊び人のぼんの方を嫌悪するのは自分だけなのだろうか。読んでいて、すごくやりきれない思いを抱え、いろいろと考えさせられてしまう作品だった。

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トラックバック(8)  コメント(14) 

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comments

こんばんは。
祐一と光代が早くに出会っていたら…
私もそう考えてしまいました。
新しいデザイン、かわいい!!!

なな:2008/10/27(月) 20:42 | URL | [編集]

こんばんは。
なんだかやりきれなくって、悲しくって・・・という作品でした。もうちょっとタイミングが違ってたら、違う未来もあっただろうにと思うと余計に。

エビノート:2008/10/27(月) 20:47 | URL | [編集]

こんばんは。

テンプレえらいかわいいですね~。
TBコメント横っちょの玉乗りにゃんこがものすごいキュートv-238です。

さておき、物語の方はやりきれない思いを強く感じる作品でした。
なんでこんなことに、と思わずにはいられず、現実もこうやって事件が起こったりするのかなあと想像するとますます複雑です。

ちきちき:2008/10/27(月) 21:01 | URL | [編集]

ななさん
素人娼婦よりも・・・。そこがすごく切なかったですよね。
なんか女の子っぽいテンプレばかりを選んでいるような。
でも乙女ですから(笑)

しんちゃん:2008/10/27(月) 22:10 | URL | [編集]

エビノートさん
いろんな人の感情が渦巻いていて、特に両方の親の心情はやりきれなかったです。
個人的には、父ちゃんやっちゃえでした。わおっ、過激^^;

しんちゃん:2008/10/27(月) 22:13 | URL | [編集]

ちきちきさん、こんばんは。
猫ちゃんもオレンジの文字も気に入りました。
地味だけど、右上の猫をじっと見ていると・・・むふっ。キモイですね(汗)

被害者、被疑者、そして周辺にいる人の目線が独特な世界観を作っていましたね。
現実はもっと生々しい感情があると思うと、裁判員制度は怖いです。
もし自分が選ばれたらと思うとぞっとします。

しんちゃん:2008/10/27(月) 22:21 | URL | [編集]

こんばんわ。
痛くて切ない物語でしたね。
私も被害者の女性には好感が持てなかったのですが、ご両親の怒りを思うと「うーん」と考えちゃいます。
いろんな角度がら考えさせられる、読み応えのある作品でしたね。

ia.:2008/10/27(月) 23:43 | URL | [編集]

あたしは、
清水祐一の祖母につけ込む悪徳セミナー業者が
いつまでも消えませんでした。

ちなみに余談ですが、
じつは小説舞台の年代、
2001年~2002年1月。
あたし、福岡に住んでました(* ̄∇ ̄*)
しかも、冒頭に出てくる「早良街道」のそぐそばに★
ダイエーとかモスバーガーとかセブンイレブンとか、
場所もわかるし、全部買いに行ったことあります♪
(〃∇〃) てれっ☆
だから、物語に即、引き込まれました★
そういう読書体験、はじめて♪(* ̄∇ ̄*)

http://tsutamaru.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_d1a0.html

つたまる:2008/10/28(火) 02:05 | URL | [編集]

ia.さん
殺人はいけないことですけど、あの被害者は痛い人でしたね。
好きにはなれませんが、親はとても可哀想でした。
ほんと考えることがいっぱいありましたね。

しんちゃん:2008/10/28(火) 12:02 | URL | [編集]

つたまるさん
祖母もめちゃめちゃ可哀想でしたね。
病院通いに悪徳業者。おまけに犯人ですから。
のん気な駐在さんに脅されていることを言えなかったのかな~。
知ってる土地が舞台って嬉しいですよね。
大阪はその点では多いかも。

しんちゃん:2008/10/28(火) 12:07 | URL | [編集]

しんちゃん こんばんは。
テンプレ可愛ええ~ (*^_^*)
さてこの作品、実際の事件とかモチーフに
してて、なんかリアルでした。
ゾクゾクして一気に読みました。
吉田さんの印象が変わった一冊です。
ほんといろいろ考えさせられる作品でした。

naru:2008/10/28(火) 20:19 | URL | [編集]

naruさん、こんにちは。
カスタマイズしまくりました。^^
人間心理がすごくリアルでしたね。
生すぎて共感はしにくかったですけど、これはすごかったです。
三冊ほどしか読んでいませんが、ほんと印象が変わりましたね。
やりきれなさに満ちた作品でした。

しんちゃん:2008/10/29(水) 11:14 | URL | [編集]

数年前の作品だったんですね。
友人に勧められて読んでみました。
佳乃は被害者なんだけど、私には祐一が被害者に思えて、可哀相でなりませんでした。
「どっちも被害者にはなれない」って祐一の本心に、光代気付いてくれないでしょうか。
私は、光代に待っていて欲しいんですけどね~。

じゃじゃまま:2010/03/31(水) 22:44 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
ごめん。全然、覚えてないや^^;

しんちゃん:2010/04/03(土) 13:23 | URL | [編集]

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