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    2008

10.29

「となり町戦争」三崎亜記

となり町戦争 (集英社文庫)となり町戦争 (集英社文庫)
(2006/12)
三崎 亜記

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となり町との戦争がはじまる。僕がそれを知ったのは、毎月二度発行され、一日遅れでアパートの郵便受けに入れられている「広報まいさか」でだった。もともとこの町に縁もゆかりもあるわけではない。探し当てたアパートがたまたまこの町にあったという、それだけの縁。住み始めてもう二年になるが、この町のことはほとんど知らないし、知り合いと呼べるような人もいない。

開戦の日を迎えた。町はいつもどおりの倦怠感を漂わせている。黙々と歩く人の姿もなんら変わりはなかった。銃声も聞こえず、目に見える流血もない。特に変わった雰囲気は感じられなかった。そうして、何事もないまま、僕はそれからの日々を表面上は何の変わりもなく過ごした。次第に今が戦時中であることすら忘れがちになっていった。

それでも、町の広報誌に発表される戦死者の数は増え続ける。戦争は確実に始まっているのだ。僕の眼に見えない形で、戦争は確実に町を覆っているのだ。何もわからなかった。この町ととなり町の間に、どんな確執があるのか。何を求めて二つの町は戦っているのか。死者を出してまで得るべきものがあるのか。いったいどこで戦争は行われているのか。何もわからないまま、その数字を見続けるしかすべはなかった。

そんな戦争に現実感を抱けずにいた僕に、町役場から一通の任命書が届いた。戦時特別偵察業務従事者。僕にはこの戦争によって得るものもなければ、もちろん失うものもないのだ。だとしたら、この戦争の行方を知ることができるのならば、偵察という、あまり積極的ではない形で戦争を観察してみるのもいいのかもしれない。僕は任命を受けることにした。見えない戦争を描いた、第17回小説すばる新人賞受賞作。文庫版では、地域振興事業運営を請け負う会社に勤める新人女性を主人公としたサイドストーリーを収録。

なんともまあ、感想が書きにくい作品だ。戦争をリアルに感じない主人公は、なぜ戦争をするのか、人の死とは、みたいなことを自問しながらも、戦中に身を置いている。その戦争は、主人公だけでなく読者にもまったく見えてこない。その戦争する理由が地域振興という意味のわからないもので、町役場も一部の住人も大真面目で、お役所仕事の一環となっている。ここに戦争反対というわかりやすいメッセージがあるわけでもなく、だから何?という疑問はあるのだけど、これが不思議と面白く読めてしまったのだ。

その点、サイドストーリーの方はわかりやすい。何の関係もないと思っていた仕事のはずが、めぐり巡って、誰かの死に手を貸していたという皮肉。作品の完成度としては、こちらの方が上だと思った。

戦争というものに、いまいちピンときていない主人公たちは、今の日本人を代表しているのかもしれない。面白かったけれど、しかし、変な作品やなぁ。

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三崎亜記
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comments

これ、確かに感想が書きにくい本ですよね~(^^; 私は先に『失われた町』を読んでいたんですが、どうもこの『となり町戦争』の世界と同じ世界のような・・・少しリンクがあるような気がして、それで興味深く読むことができました。
確かにサイドストーリーの方がわかりやすいですよね。(笑)

板栗香:2008/10/31(金) 12:48 | URL | [編集]

板栗香さん、こんにちは。
まったく感想が出てこない作品でした。
面白いのですが、どこがいうのがなくて・・・(汗)
サイドストーリー、良かったですよね~。

しんちゃん:2008/11/01(土) 14:43 | URL | [編集]

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『となり町戦争』 三崎亜記 集英社


となり町戦争 第17回小説すばる新人賞受賞作。 町役場からの広報紙で北原修路は自分が住む舞坂町と、となり町との戦争開始を知る。やがて、町役場の要請により「敵地偵察」を請け負うことになった主人公は、「役場の論理」で「戦争という事業」が着々と進められてい...

2008/10/30(木) 00:49 | みかんのReading Diary♪

三崎亜記  となり町戦争


三崎作品を読むのは2作目です。最初に読んだ『失われた町』が、かなり私好みの作品でしたので、本作を読んでいる間もかなり好意的な態度での読書だったと思います。となり町と戦争が始まる事を広報紙で知った主人公。しかし、銃声が聞こえるわけでもなく実感が沸かない。...

2008/10/31(金) 12:45 | マロンカフェ ~のんびり読書~

となり町戦争  三崎亜記


さて順番だと芥川賞の回なのですが事情により直木賞候補作の『となり町戦争』です ある日、町の広報紙に載せられていた『となり町との戦争のお知らせ』 戦争。その言葉の意味を知りつつも何の気構えもないまま迎えた開戦の朝 鳴り響くサイレンに飛びかう銃声、耳を...

2008/11/01(土) 00:02 | 今更なんですがの本の話

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