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    2008

10.31

「超・ハーモニー」魚住直子

超・ハーモニー (講談社文庫)超・ハーモニー (講談社文庫)
(2006/07/12)
魚住 直子

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響は、学校から帰ってきてうちが近づくと、胃のあたりがきまって重苦しくなった。三和土に見たことのない女物の靴があった。そうか、客が来ているのか。響は自分の脱いだバッシュとふと比べた。ハイヒールの方がずっと大きい。でっけえ女。思わずつぶやいた。どうせ母親のよく似た友人のうちのひとりだろう。

足音を立てないように二階の自分の部屋に上がる。すぐに勉強を開始しなくてはいけない。念願だった中学に入学して二ヶ月。寝る前に予習を少しやるだけでは授業についていくのがやっとだ。クラスメートたちは小学校のときとまったく違う。みな、余裕がある。一番余裕がないのが、響だった。だが、机についてもやっぱりやる気が起きなかった。

このごろ学校から帰ってきても何もする気になれない。ただ、体がだるい。響は机を離れると、ベッドにもたれて目をつぶった。響は、はっと目をあけた。今のメロディーはなんだ。いや、まただ。また聞こえる。小さな音。知らないメロディーなのに妙に懐かしくて泣きたくなる。いったい、どこから聞こえてくるんだろう。

その時、ドアの向こうで母親の声がした。母親の顔はこわばっている。自信たっぷりで生きている、いつもの表情じゃない。将樹が、帰ってきてるのよ。居間のドアを開けた。クリーム色のワンピースを着た人が、ソファーにスカートをふわりと広げて座っている。ひさしぶり、響。懐かしい声だ。どこか父親の声に似ている。目の前にいるのは確かににいちゃんだった。少しえらのはった顔。細い鼻筋。目尻のさがった二重まぶた。

けれど、腰までのばした髪は、濃い茶色に染まり、毛先は大きくカールしてある。ゆで卵をむいたような白い肌。薄いオレンジ色の口紅。目は、ぼかした茶色のアイシャドウで彩られている。どんな顔をすればいいんだろう。笑おうにも、しかめようにも、顔の筋肉が動かない。高三の夏休みに家出をしていたにいちゃんが、「女」になって帰ってきた。親子、兄弟、友だち同士、あっちでカリカリ、こっちでギシギシ。この世は不協和音でいっぱいだ。

この両親がひどすぎる。もうめちゃめちゃムカついた。にいちゃんが女になって帰ってきたことに対して、父親は無視を通し、母親は受け入れるポーズは取るものの、考えることさえ拒否。そして弟である主人公に対しては、うちの子はできるという重圧をかけている。こんな息苦しい家は最悪。だから、兄は家出をしたし、弟は体内に怒りを溜めつつ、ストレスに押しつぶされそうになっている。家がこんなのでは落ち着けないし、学校は学校で部活しか居場所がない。子供には子供なりの悩みがあるのだ。その子供とまともに向き合おうとしない親って、サイテー。そんな中、にいちゃんは女になったけれど、男前でした。

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