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    2008

11.05

「春のオルガン」湯本香樹実

春のオルガン (新潮文庫 ゆ 6-3)春のオルガン (新潮文庫 ゆ 6-3)
(2008/06/30)
湯本 香樹実

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小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと川原に放置されたバスで眠った──。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音……ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはならないものになっていた。少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語。《背表紙より》

小学校を卒業したけど、中学生でもない春休み。桐木トモミは、自分が怪物になった夢ばかりを見ている。きっかけは苦しむおばあちゃんに、もう死んだほうがいい、と思った翌日、おばあちゃんが死んでしまったことだった。それとともに、原因不明の頭痛にも悩まされ、中学受験にも失敗し、ネジのゆるんだ時計の、振り子にでもなったみたいな気がしている。そして桐木家もまた、隣のおじいさんとの境界をめぐったいざこざが原因でギクシャクしていた。

外で働いているお母さんは、毎日のように、いろいろな人のところに相談に行って、毎晩くたくたになって帰る日が続き、おとうさんとケンカするようになった。そのケンカがきっかけで、翻訳家のおとうさんは、めったに仕事場から家に帰ってこなくなった。おじいちゃんは、何故か納戸の整理をし続けている。そんな大人の問題は聞きたくない。だけど弟のテツは、ちゃんと聞いていた。憎くて憎くい、猫がきらいだというおじいさんの家の庭に、夜中に猫の死骸を置きにいったのだ。

べつに、予定をたてたり約束みたいなことをしたわけじゃない。だけど、テツとトモミは猫さがしを始めた。もっと正確に言うと、死んだ猫さがしだ。その道中に、毎日野良猫たちに餌をやってまわっているおばさんと出会って、ボート小屋の裏と家電やバスが捨てられたガラクタが山積みのところで猫に餌をやり、いつものようにお隣からはおじいさんがおばあさんを怒鳴りつける声が聞こえ、また捨てられた猫たちがすみかにしているガラクタの山に出かけ、その帰りに落雷の音が鳴る夜の暗さの中、男の手がすれちがいざまにトモミの胸をつかんだ。

おかあさんは、私のことなんかちっとも気にかけてない。おとうさんは、家に帰ってこない。そこにある出来事が起こり、姉弟二人は家出をすることにした。行き先は野良猫のすみかと化した捨てられたバスの中。その深夜、心配したおじいちゃんがバスにやって来た。おじいちゃんは、自分の子供の頃のお話を訥々と聞かせてくれる。トモミも自分の胸の内に抱いていた苦しみを打ち明ける。トモミはこのバスで過ごした一夜から、明確ではないが、ゆっくりと、子供から大人への階段を登り出す。

弟の無邪気さが羨ましくもあり、疎ましくもある。やっかい者だけど、お姉ちゃんだから弟の面倒は見る。かといって、弟と同じように、はしゃげる年頃は過ぎ去ろうとしている。でも大人まではほど遠い。そんな微妙な時期に、向き合ってくれる大人、あるいは気づいてくれる大人はいない。少女は猫おばさんや猫たちと関わることで、自分で一歩を踏み出すことができるが、もしそういう存在がいなかったならばどうなったのだろう。

おとうさん、逃げないで。おかあさん、ちゃんと見てあげて。おじいちゃん、もう少し構ってよ。隣のおじいさん、命拾いしたな。(おっと) 核家族でありながら、姉弟二人で過ごす環境になるのは仕方がないけど、大事な存在をもっとじっくりと見つめて欲しい。自分は鍵っ子じゃなかったし、こういうほったらかしで育ったわけでもない。でも今の子って、これに近いような気がした。そこに不安を感じるのは自分だけでしょうか。

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