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    2008

11.06

「空へ向かう花」小路幸也

空へ向かう花空へ向かう花
(2008/09/26)
小路 幸也

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僕は女の子を殺してしまった。それから家の中が、静かになった。もうすぐ死んでしまった女の子の誕生日だったってわかった。死んだら、あの子にあやまれるかなって思った。ビルの屋上から飛び降りようとしたら、光が眼に入った。まぶしくてまぶしくて飛び降りるのをやめて、その光がどこから来るのか確かめた。ずっと向こうの、小さなビルの屋上。僕に向かってキラキラ揺れてる。何かが、光ってる。

あの子は死のうとしてる。わたしはあわてて一生懸命考えて、カバンの中から鏡を出した。お日さまがちょうど上にあるからそれでわたしはあの子の顔を狙った。キラキラ、キラキラ、光を反射させて。死ぬのはやめろよーっ、て思いながら。そうしたら、その子は飛び降りるのをやめた。じっとこっちを見て何が光っているのかを確かめようとしている。だから、わたしは思いっきり身体を伸ばして両手で手招きをした。ここへ、おいで。

冒頭をそのまま引用させてもらった。この描写だけで泣きそうになり、他にも泣けるポイントがいっぱいあった。

不幸な事故で少女を殺してしまった春之(ハル)と花歩(カホ)は出会うべくして出会った。それというのも、死ねと書かれたカードがハルの家に毎日届く。それを苦に、ハルはビルから飛び降り自殺をしようとした。偶然、自宅のビル屋上から発見したカホは鏡を使ってそれを止めた。ハルの顔に光を当てた鏡は、死んだ由希菜がカホの誕生日にプレゼントした鏡だった。そう、ハルが殺してしまったという少女は、カホの親友だった。そしてハルとカホは、毎日のように由希菜がここに来て遊んでいたカホの住むビル屋上で、二人は話し合う。カホと由希菜は、ビルの屋上を庭園にしたいと話していたことから、ハルとカホは二人で庭園を造ろうと決める。

そんな二人は子供だというのに並みの大人が背負うのも辛いほどの寂しさを抱え込んでいる。ハルはいったい自分が何をして由希菜が死んでしまったのかよくわからない。だけど死んでしまったというのは事実で、由希菜の両親や兄は、不幸な事故でハルに罪がないことは明らかなのに、ハルの両親を訴えていた。そのハルの両親は、高額の慰謝料を請求され、さらに世間に晒されるという余りにも重たい現実から眼を背け、自分が何をしているのかが見えなくなり、いちばん苦しんでいるハルのことを見ないふりしていた。

一方のカホは、父親の虐待で足を骨折し、その父親は刑務所行きで、母親には捨てられたという過去を持ち、年老いた祖父と二人暮らしをしている。自分を守るすべは早く大人になること。そんなカホは子供らしい遊びをしたことがなく、公園にある遊具で嬉しそうに遊ぶ。その姿には泣きそうになった。ふだんは元気で健気で前向きな少女。それゆえに痛々しいのだ。

ここからはネタバレ注意です。これ以上先に進まない方へ。本書はお薦めです。


そんな二人の庭園造りだけれど、協力してくれる素敵な大人がいる。過去を語りたがらない肉体労働者の井崎原のおじさん(イザさん)と、花屋でバイトする大学生の桔平(キッペイ)だ。大人たちは大人だちで、自分たちのできることをしようとする。しかし、そうそういいように物事は進んでくれない。子供と大人四人での庭園造りが始まったとき、カホのおじいさんが亡くなってしまう。カホはお通夜でもお葬式でも泣かない。だけど、ハルの肩に頭を載せたとき、それまでが嘘のように泣いてしまう。これには読者もまたぐっときてしまうのだ。

身寄りがなくなったカホは児童施設に入るしかないのか。ビルは地権者に返すことになりいずれは壊される。庭園造りはどうなってしまうのか。死ねと書かれたカードの差出人は。ハルの家庭は。ハルとカホは。それとイザさんの過去とは。あとは読んで確かめてください。これより先は、ネタバレありでも書けない。

余興を一つ。

書きすぎたかと思うけれど、まだ書き足りない。そこで、明かされることがなかった不幸な事故を推理してみる。場所は公園。ハルは友達と二人で遊んでいた。二人とも野球部で、ハルはピッチャーだった。事故以降、二人とも野球部に参加しなくなった。イザさんが聞き込んで得た証言では、女の子はハルの方へ駆け込んでいった。そこから見えてくるのは……、ハルの投げた軟球が少女の頭を直撃。どうだろう?

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小路幸也
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comments

この作品も、すごく心にしみる作品でした。子どもたちの頑張りを応援したくなったし、まるで自分の代わりに子どもたちを支えてくれた二人の大人に感謝したくなった作品でした。
不幸な事故、なるほどそういうことだったかもしれませんね。そのあと、女の子も平気そうだったという記述もありましたし。誰もがこんなことになるとは思わなかった、ほんとに不幸な事故だったんだろうなぁ~。だからこそ、やりきれないですよね。

エビノート:2008/11/06(木) 20:28 | URL | [編集]

こんばんは。
あたたかい空気が流れる素敵な物語でしたね。これは読むべき本です。
事故、そうか~きっとしんちゃんの考えであってるような気がしてきました。

なな:2008/11/06(木) 23:03 | URL | [編集]

事故については私も同様の推理をしました。
公園での事故だしね。
野球の監督の態度とかも、そんな感じを受けました。

でもほんとにいい作品でしたよね~。

むつぞー:2008/11/07(金) 08:48 | URL | [編集]

エビノートさん
「うたうひと」から連続ヒットでしたね。
子供たちを応援したくなるし、二人の大人の好意にも温かな気持ちになれました。ただ、あの親はどうよ!頭をペシっと引っ叩きたくなりました。
不幸な事故は・・・^^;

しんちゃん:2008/11/07(金) 17:43 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
これは多くの方に読んで欲しい作品ですよね~。
事故の謎は、自分のやんちゃということで。^^

しんちゃん:2008/11/07(金) 17:46 | URL | [編集]

むつぞーさん
そっと握手です。それともハイタッチ?(笑)
ほんといい作品でしたね。

しんちゃん:2008/11/07(金) 17:49 | URL | [編集]

しんちゃん こんばんは。
泣けるポイントがいっぱいでした。鏡の真実には愕然。重いテーマですが、この作品好きでした。ハルの事件はP214で「壁に向かってボールを投げたのは僕」とあり、それまでの「公園」「打ちどころが悪く」や「ハルが由希菜が死んでしまったのかよくわからない」ところから、もしかしたら体に当たって、倒れて地面で頭を強打したのかもしれませんね。違うかもしれへんけど(*^_^*)

naru:2008/11/07(金) 20:13 | URL | [編集]

久々のヒットでした、小路さんの作品では。
子どもの頑張りも
大人の優しさも心に沁みました。
事故の真相・・・
確かに直撃だとその場でどうにかなりそうな気がするしなぁ。
後で何か起こったとすれば
直撃ではなくてボールをよけようとしてとか
ハルがぶつかってとかして
倒れちゃったりしたときのうちどころが悪かったのかと、そう推測しました。

す〜さん:2008/11/07(金) 23:04 | URL | [編集]

naruさん、こんにちは。
ぐっとくるポイントがたくさんありましたね。
謎ですが、すでに本が手元になくて確認できません。
まあ、推理ということで勘弁を^^;

しんちゃん:2008/11/08(土) 11:00 | URL | [編集]

す~さん
当たりでしたね~。小路さんの子供はどこか切ない。
そこがまた、いいんだな。
事故の真相、ほんとのところはどうなんでしょうね。
本がない今、なんとも答えようがありません。すいません!

しんちゃん:2008/11/08(土) 11:09 | URL | [編集]

今年は本当に新刊ラッシュですね~。
これは心にしみるいいお話でした。
子どもたちがとても健気で泣けました。
いい出会いがあって良かったなあと心から。

可能ならば、その後の彼らの様子も知りたいです。

ちきちき:2008/11/15(土) 20:57 | URL | [編集]

私も同じようなこと推理してました。
でもそう言えば、ハル自身もよく分かってなくて、って書いてあったから、直撃だったらもう少し罪の意識ありそうですよね。

女の子の親としては、大切な娘を失った辛さをどこかに責任追求したいんでしょうね、それも分かります。
子どもたちの触れ合いがとってもよかったですね。鏡のこと、運命ですよね。

じゃじゃまま:2008/11/16(日) 00:08 | URL | [編集]

ちきちきさん
子供たちが健気で、大人たちが温かくて、とてもいい作品でした。
それに泣けますよね。再会の場面は、感動で号泣するかも。

しんちゃん:2008/11/16(日) 17:33 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
遺族のやりきれなさも分かるからつらいですね。
その一方で、子供たちの出会いが運命的で感動でした。
距離感の表現がすごく綺麗だと思いました。

しんちゃん:2008/11/16(日) 17:37 | URL | [編集]

こんにちは。
重くなりがちな話だけど、二人が出会うところもよかったし、
心にグッとくる、いい話でした。
ハルとカホがホントに健気で、ハルの肩で泣くカホにも
ジ~ンときました。
二人を優しく見守るイザさんや桔平もよかったですね。

mint:2008/12/02(火) 13:11 | URL | [編集]

mintさん、こんばんは。
二人の出会いは素敵でしたよね。
健気な子どもたちと彼らを見守る大人たちに、じーんときまくりでした。
とても感動的ないいお話でしたね。

しんちゃん:2008/12/03(水) 19:28 | URL | [編集]

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