--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

11.16

「星のしるし」柴崎友香

星のしるし星のしるし
(2008/10)
柴崎 友香

商品詳細を見る

30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候らが大阪の街を舞台に織りなすゆったりとしたドラマ。祖父の死、占い、ヒーリング、UFO、宇宙人……。日常の中にごくあたりまえにあるいくつもの見えない「しるし」が、最後に果絵にひとつの啓示をもたらす。繊細で緻密な描写力によって、世界全体を小説に包みこむ方法を模索してきた、純文学の世界で最も注目される作家の集大成的な傑作です。《出版社より》

奈良と京都の境目の新興住宅地。元旦の夜から、二十九歳の果絵は主婦の皆子といっしょに高校の同級生の新築の家を訪ねた。恋人の家に居ついている二十歳のカツオが遠慮なく付いてきて、夜中まで鍋を食べ続けて、朝五時に寝て昼前に起き、せっかくだからと皆子の運転する車で春日大社に初詣に寄り、そして夜のファミリーレストランにたどり着いた。その駐車場から見える二階建て住宅のベランダにいる不審な男女。お互いに指差して微動だにしない。ET?UFOを呼んでる?という不思議なオープニングから物語は始まる。

レストランの席に座ると、通路の反対側のテーブルでは、女の人二人が占いをしている。そこに父方の祖父が救急車で運ばれたという母からの急な電話。病院に着いて、案内された場所は霊安室。最後に会ったときの祖父の様子が思い出せない自分が、申し訳ない気がする。祖父が死んだ実感がないまま通夜、告別式を済ませ、月曜の朝に出社すると、お正月気分などはどこにもなく、去年から続いている仕事が滞りなく行われている。ここからは、いつもの柴崎作品と同じ。女性ならではの小道具と共に、普通の日常が淡々と続いていく。

親会社の意向で会社が移転することが決まっており、そもそも存続自体が怪しいのだが、だからと言って、これという意見もなく、ただ嫌な上司に対してだけ思うことが一つある。殺す。土日のほとんどは恋人の朝陽の家に入り浸り、そこに十七年来の親友である皆子やその夫の岡ちゃん、居候のカツオ、その他にも、二階がバンドの楽器置き場になっていることから、誰もが自由に出入りしている。果絵の悩みは、なんにもないことが悩み。仕事に目標や意欲があるわけでもなく、結婚を焦っていることもない。

スターバックスでの人物ウォッチングや、朝陽の家で飲み会をしたり、会社では同僚と当たり障りのない会話をし、果絵の中には生前の祖父はいなかったのに、祖父のことを思い出して感傷に浸ってみたり、同僚の紹介で怪しげなヒーリング・セラピーに行ってみたり、皆子の勧めで占いに行ってみたり、カツオがUFOスポットがあると言い出して石切神社に参拝に行き、年下とのすき焼きパーティーでは話についていけない。そして最後に、宇宙人が現れる夢を見て怖くなり、ふっと気づく。自分は一人じゃない、と。

三十歳を目前にした女性の迷いや不安感、わけのわからない漠然とした焦燥感が描かれた作品だと思う。この主人公の側にはなんとなく占いがある。頼るわけでもなく、無視するでもない。信じないわけでもない。自分にとってのいいとこ取りをするのだ。これがなんとも女性らしい。男なら占いなんて鼻からケッて感じで見向きもしない人が多いだろう。自分もそうだ。多くの女性は雑誌の占いコーナーをチェックしている。ほんと女性って、何故こんなにも占いが好きなんだろう。

いつものように大きな出来事が起こるわけでもない。淡々とした日常の中で、変わらない毎日を生きている。そこに自分を重ねて共感するもよし、世界観というか雰囲気を楽しむのもよし、何か深いものがあるに違いないと深読みするのもよい。人それぞれの楽しみ方はあると思うが、自分は真ん中の読み方だった。馴染みある地名が出てきたのも、またよしだった。これは大阪人の特権なり。あるのは普通の日常だけ。でもこんな柴崎作品が好きだ。

柴崎さんのサイン。

Image189_r1.jpg

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

柴崎友香
トラックバック(4)  コメント(6) 

Next |  Back

comments

占いやら、スピリチュアルなことが出てきたときはちょっとギョッとしましたが、全然柴崎さんらしい、お話でしたね。
こんな日常過ごしてる人がほんまにおるんやろうなあって思いながら読んでました。
カツオは謎やったけど…

ちきちき:2008/11/19(水) 21:40 | URL | [編集]

ちきちきさん
新境地とあったので及び腰でした。でも読むといつもの柴崎さんでした。
登場人物は遊びすぎ。柴崎さんを読むたびに思います。
カツオは宇宙人かもね。

しんちゃん:2008/11/20(木) 17:54 | URL | [編集]

こんな子いそうですよね。
誰かの日常をまるまる見せてもらっているようで
いつもどおり面白かったです。
カツオ、宇宙人なのか!!!

なな:2008/12/10(水) 22:56 | URL | [編集]

ななさん
隣の女の子って感じでしたね。ちょっと夜遊びしすぎだけど(笑)
カツオは謎でしたね。でもいい味を出していました。
彼なら宇宙人と交信していてもおかしくないかも。

しんちゃん:2008/12/11(木) 18:17 | URL | [編集]

日常のことが淡々と描いてあるだけなのに
おもしろいんですよね。
場所がわかるともっとおもしろいんだろうなぁ。

かつおの正体が気になったんですけど、
宇宙人説いいですね♪
そう思っとこうと思います。

june:2009/04/04(土) 19:34 | URL | [編集]

juneさん
日常が面白いってすごいことですよね。
普通はなかなかこうは読ませられないですよ。
そして、カツオは宇宙人で決定ってことで(笑)

しんちゃん:2009/04/04(土) 19:55 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

星のしるし


JUGEMテーマ:読書 30歳を目前にした会社員・果絵とその恋人、友人らとの静かなやりとりの中で大切なものが輝き始める。新鋭の集大成的傑作誕生! 30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候らが大阪の街を舞台に織りなすゆったりとしたドラマ。...

2008/11/19(水) 21:41 | ぼちぼち

「星のしるし」柴崎友香


星のしるし 柴崎 友香 JUGEMテーマ:読書 30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候らが大阪の街を舞台に織りなすゆったりとしたドラマ。 大阪を舞台にした、柴崎さんらしい日常を切り取った物語。年齢的に自分とは少し離れているからなのか、...

2008/12/10(水) 22:57 | ナナメモ

星のしるし/柴崎友香


JUGEMテーマ:読書 読書期間:2008/12/8~2008/12/10 [文芸春秋HPより] 30歳を目前にした会社員・果絵とその恋人、友人らとの静かなやりとりの中で大切なものが輝き始める。新鋭の集大成的傑作誕生! 30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候...

2008/12/24(水) 01:54 | hibidoku~日々、読書~

「星のしるし」柴崎友香


星のしるしクチコミを見る ゆるゆると進む何気ない日常の光景、心地よいスピードの大阪弁、柴崎さんの世界でした。ほとんど接点のなかった祖父の死という出来事から始まるものの、実家に住む家族や、会社の人、中学時代からの友達の皆子、カフェの雇われ店長をしている...

2009/04/04(土) 19:38 | 本のある生活

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。