2008
![]() | ある日、アヒルバス (2008/10/17) 山本 幸久 商品詳細を見る |
冒頭の板チョコ三兄弟で笑いのツボを刺激され、次のメタボギャルという言葉で心をがしっと鷲掴み。主人公は通称デコこと高松秀子。ハトバスならぬアヒルバスで東京観光やイロモノ企画旅行で参加者を案内する入社五年目のガイドさん。叱咤激励してくれた三原先輩の退社に少なからずショックをひきずり、自分はもてると勘違いしている運転手の小田切次郎がウザい。まずはそんなデコの東京案内から物語は始まる。
三原先輩の教えを守り、参加者にグループ名をつけて、顔を記憶する。おばあちゃん三人組はチャットモンチッチー、年寄りが半数以上の男性七人は笑点。ちょっと気になる女子高生一人はチェキッコ。そして偽伯爵は常連客。彼らとの会話部分は楽しいものの、観光案内自体は東京に土地勘がないのでイメージが膨らまない。だから間延びを感じて少々退屈。それにちょっとベージ数を取りすぎかな。地方人は置いて行かれたなあと思った。
そして次は、ベテランガイドの鋼鉄母さんから、新人指導員を命じられるが、デコ命名の女おすぎ、平和鳥、おかっぱ左門、お手玉パティ、クウたちバスガイド予備軍は、もう少しまともな子を採用してほしいという問題児ばかり。さらに、デコ自身が口うるさい先輩と思われるのが嫌でご機嫌をとっているから、それを新人に見透かされ軽んじられている。そんな中、同期の中森亜紀に、会社はバスガイドあってこその会社、女が働ける環境にするべきだ、革命だ、革命起こさねば、と持ちかけられる。そこに盗撮写真が雑誌に掲載されて…。
後半の上手く進まない新人育成の奮闘ぶりと、パンチラ盗撮犯のあれこれの方は面白く読めた。なめた新人にはガツンと行けよ、とは思うが、その分を亜紀がやってくれるし、怖いと思われた鋼鉄母さんのいいところも見え、さらにその息子のカオルくんが超かわいい。保育園児がござる口調って反則よ。だけど、ついついニヤけてしかうかわいらしさに狙いすぎを許してしまう。その狙いが良い方に働けばいいけれど、ここでもひとつ悪い方が出てくる。デコがクウに指南するガイドネタがまた、地方人を置き去りにする。東京に迷いこんだ恐るべき野獣って何? 面白さがわかんねえよ。
とまあ、東京限定のネタに、親指を下に突き出してブーと言いたい。些細なことだけど、内輪受けって外にいるとつまらないもの。ツカミも良くて全体的に面白いけれど、残念ながら疎外感があったことで絶賛できず。そういう一方で、大阪が舞台なら絶賛していたかも。まったくもって我儘な読者だ。ほんと身勝手な意見で、あしからず。
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