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    2008

12.03

「ファミリーポートレイト」桜庭一樹

ファミリーポートレイトファミリーポートレイト
(2008/11/21)
桜庭 一樹

商品詳細を見る

ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。すなわち、それがあたし。あなたの人生の脇役にふさわしい命名法。ママははたちでコマコを産み落として、まだ二十五歳。コマコは五歳。ママはきまぐれで、びっくりするぐらいきれいな女の子で、顔が小さくて、手足は長く折れそうに細い。外見はうつくしくて、魂も七色に輝いていた。そして真珠のような涙を幾つもこぼした。ママはひんぱんにかなしそうな女の人だった。

となりにいるコマコは、美女の横にいるにしては冴えなくて、目立たない、ただの女児だった。だけど、ママが真夜中に、からだをぐにゃぐにゃさせて帰ってくると、揺り起こしては、こんなふうに祈った。コマコ、わたしの娘。わたしの分身。わたしという人間の、唯一の理解者に育っていく者。わたしが神になれる空間の誕生。コマコ、わたしのためのコマコ。産んでよかった。大好きよ。ママはあなたを愛している、と。ママに必要とされていることがコマコの誇りだった。

そんな母娘の逃避行から、物語は始まる。たどり着いたのは山の奥の村。そこで明らかになるのは、コマコは口がきけないこと、情緒の発達が遅れていること、ママから虐待されていること。だけど、コマコはママのために生きて、あなたの守り神だとさえ思っている。コマコはここにきて文字を習い、本を読む喜びを知り、そしてさまざまな疑問に芽生える。しかし平穏な日々は長く続かない。海辺の町、養豚場の町、動物園のある町、巨大庭園へと、逃げて、逃げて、旅をする。

ママにいつまでも必要とされる子どもでいたい。マコのためのコマコ。ママのちいさな神のままでいたかった。だけど子どもは日々成長していく。コマコは大きく育ち、人間になってしまった。そうしてコマコが十四歳のとき、コマコ、逃げるわよ。コマコもくる?といつもいったママは、コマコをおいていってしまう。ここまでが第一部。ちょっと長すぎかな~と思う部分はあるが、コマコの健気さや、いっちゃってるママの危うさが「赤朽葉家」を思い出させる。

続く第二部は十七歳になったコマコひとりで物語が始まる。高校での自堕落な三年間を経て、文壇バーでアルバイト。お店恒例の嘘しか言ってはだめ遊びで、自分の過去をフィクションにして初めて人に伝え、その物語を書き起こしては出版社に応募を送る日々。華々しく小説家デビューしたかと思えば三年目に突然失踪と、先がよめないコマコの半生。どうなるんだ、どうなるんだ、気になる~、と読み進めると、ラストは思いがけずに涙。

ママのいなくなった喪失感や、未来が見えない空ろな状態など、それに近いことは誰もが経験することだろう。生きることとはどういうことなのか。そんなこと考えさせつつ、本書は最後の最後まで母娘の物語でした。いっとう最初のファミリーポートレイトとの出会いは素敵すぎ。

サイン会に参加してきました。今回はおねだりをして、桜庭さんの似顔絵を描いてもらいました。イェイ!

Image232_r1.jpg

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桜庭一樹
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comments

おはようございます。
この本、私も気になってました。
おもしろそうですね。
それにしても、読むのが早い!
しかも、オリジナル(?)のサイン本、いいなぁ。

mint:2008/12/05(金) 09:00 | URL | [編集]

mintさん、こんばんは。
かなりの分厚さで読了するのにてこずりました。
でもサイン会までには読むことが叶いました。
写真ではわかりづらいですけど、カメラのシールがすごく立体的です。
そう、オリジナルです(笑)

しんちゃん:2008/12/05(金) 19:52 | URL | [編集]

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくね~。

『ファミリーポートレイト』、読みました。
サイン本じゃないけど(笑)。
カメラが立体的っていうのもいいですねぇ。

で、本の感想ですが、母娘の切ない物語でしたね。
マコとコマコの関係も桜庭さんらしい描き方だったし。
そうそう、第二部ではどうなる?と思いながら読んだし、
ラストも切なかったです。

mint:2009/01/06(火) 12:03 | URL | [編集]

mintさん、新年おめでとうございます。
2009年もよろしくです。

第一部はちょっと単調かなと思いました。
でも、第二部はぐいぐい読ませましたね。
そしてラストはもう感動。涙をぐっとこらえました。

しんちゃん:2009/01/06(火) 21:54 | URL | [編集]

こんばんわ。
第二章以降、どうなるんだろうと思っていたのですが、
ラストは素敵でしたね。
ファミリーポートレイトが繋ぐ絆がとても良かったです。

ia.:2009/01/17(土) 01:57 | URL | [編集]

ia.さん、こんにちは。
ほんと先が読めない展開でしたね。
ラストの再会は涙腺がやばかったです。
時折撮る写真が効果的だと思いました。

しんちゃん:2009/01/17(土) 16:42 | URL | [編集]

所々に出てくる写真、すごく効果的でしたね。
「いっとう最初のファミリーポートレイト」涙が出そうでした。
「いっとう」って言葉が桜庭さんらしい。

なな:2009/01/24(土) 10:45 | URL | [編集]

ななさん
ラストは走馬灯のように今までの写真が目に浮かびました。
そして美人で女優だったママとの再会はぐっとくる~。
桜庭さんの言葉のセンスも良かったですね。

しんちゃん:2009/01/24(土) 18:05 | URL | [編集]

しんちゃん☆おはようございます
ロードムービーのような展開にグイグイ引き込まれてしまいました。
コマコがこの先どんな作品を生み出すのか期待してしまうラストでしたね。

Roko:2009/05/24(日) 09:58 | URL | [編集]

Rokoさん、こんばんは。
ほんとグイグイでしたね。コマコがどうなるのかが心配で目が離せなかったです。
そしてコマコと著者がダブって見えて、次回作も楽しみになりました^^)

しんちゃん:2009/05/25(月) 18:21 | URL | [編集]

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