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    2008

12.05

「生き屏風」田辺青蛙

生き屏風 (角川ホラー文庫)生き屏風 (角川ホラー文庫)
(2008/10/25)
田辺 青蛙

商品詳細を見る

著者来店によるサイン本を発見したので、なんとなく手にすることにした。それが、第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「生き屏風」というわけ。受賞作の「生き屏風」他、「猫雪」「狐妖の宴」の書き下ろし二編を収録。

「生き屏風」
皐月はいつも馬の首の中で眠っている。そして朝になると、首から這い出て目をこすりながら、あたかも人が布団を直すかのように、血塗れで地面に落ちている馬の首を再び繋ぐ。その後で馬体を軽く叩いて、「おはよう」と言ってから朝食の準備を始める。馬の名は布団という。そんな皐月が朝食を摂っていた日の事だった。近所の酒屋の小間使いがやってきた。一昨年に亡くなった奥方が夏の間になると屏風に取り憑き、屏風から奥方が喋るのだという。屏風の奥方の我儘に付き合わされては敵わない。そこで妖鬼の皐月に奥方の話相手をしてほしいというのだ。死霊とはいえ、皐月は奥方とのやりとりを気がつけばかなり楽しんでいた。

「猫雪」
里の中心部から少し離れた所に一軒の大きな家があり、そこには一人の男が住んでいた。名は次郎という。次郎は弟に商売を譲り、先代からの蓄えを食い潰しながら、隠居同然の暮らしをしていた。ふと、縁側越しに庭にある池の方を見ると、猫がいつの間にかそこに居た。一度、お前のような猫になってみたいよ。次郎はそう呼びかけてみた。すると、猫が「そうか」と奇妙な伸びのある声で返事をしたのだった。けれど、どうせなら雪になって空から降りてみたい。猫は白い尾を左右に振って頷いた。白い穢れのない雪片となり、風に乗り、次郎は空を思うがままに彷徨う。気がつくと、いつもの次郎の見知った縁側と座敷があった。

「狐妖の宴」
年のころは、十五、六だろうか。皐月は若い娘に声をかけられた。惚れ薬を作ってくれませんか。生まれてこの方ずうっと誰ともお付き合いをした事のない女はあたしだけなの。ぐずぐずと泣きながら、一気に捲くし立てられ、皐月は面食らってしまった。一方的に言われっぱなしのそんな皐月の頭に一人、いや一匹が浮かんだ。狐妖の住む家は里の外れにあり、小さな塚が目印の穴の中にある。皐月は思い人と一緒になりたいという娘と、狐妖の銀華を訪ねる。また、桜の下で男がひとり座して桜を眺めていた。そこに狐妖が現れて、二人は花見の宴を始める。男は県境を守る皐月の前任者、猫先生だった。

怖いということは全然なくて、のどかで、しみじみとして、ほっこりとくる暖かい不思議な味わいの作品。ホラーというよりも和風ファンタジーに近く、特別に無茶をするわけでもない。作品の基本は自分語りになっていて、その雰囲気ある会話を読ませるような作品だ。また、語りに対する相槌もテンポ良くて、流麗な文体で心地よく読めるリズム感が生み出されている。そして皐月をはじめとした妖たちが人間臭く、それでいて世間ずれしていない。それが世界観と上手く調和して、独特な空気を生み出している。楽しみな新人作家が誕生。今後も追いかけていきたいと思った作家だ。お薦めです。

田辺青蛙さんのサイン。

Image184_r1.jpg

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2010/06/09(水) 18:18 | ◆小耳書房◆

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